Google Pixel Tabletを購入しました。
高機能なNest Hub
Google Pixel TabletはGoogle Tensor G2を搭載したタブレットで、付属の充電スピーカーホルダーのおかげでスマートハブとして常に机の上などに置いておきやすいです。
ハブに置いておけばスマートディスプレイ・フォトフレーム代わりに使えますし、取り外せばタブレットとして動画再生などに使えます。
ただ60Hzリフレッシュレートだったり発熱しやすいSoCだったりしてコスパはあまり良くありません。
このレビューは8GB+128GB版・TQ3A.230605.009.A1で行っています。
- ハブで固定設置できる
- 普段使いはスムーズなそこそこの性能
- USB 3.2 Gen 1ポート
- 5年間のアップデート保証
- スピーカーのバランスが微妙
- 60Hzリフレッシュレート
- タブレットにしては熱くなりやすい
- 一部アプリは全画面表示できない
- ボタン配置が特殊で混乱する
Google Pixel Tablet (2304FPN6DC) | |
---|---|
OS | Android 13 |
RAM | 8GB LPDDR5 |
ストレージ | 128GB / 256GB UFS 3.1 |
SoC | Google Tensor G2 (GS201) |
ディスプレイ | 10.95インチ 2560 × 1600 アスペクト比 16:10 60Hzリフレッシュレート LCD |
サイズ | 258 × 169 × 8.1mm |
重さ | 493g (実測488.2g) |
SIM | — |
リアカメラ | 8MP |
フロントカメラ | 8MP |
バッテリー | 7,020mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 3.2 Gen1) |
目次
説明書、充電スピーカーホルダーと充電器が付属しています。
Pixel Tabletに直接挿せるタイプの充電器は付属していません。
ディスプレイ:LCDで焼き付きの心配なし
Pixel Tabletは10.95インチ 2560 × 1600解像度のディスプレイを搭載しています。
LCDなのでOLEDと違って焼き付きの心配はほぼありません。
そのため充電スピーカーホルダーに装着してスマートハブやフォトフレームとして使う使い方もできます。
ハブに接続するだけで充電されるので、バッテリー残量を気にする必要もありません。
なお、ハブ装着時にフォトや時計、天気表示ができるスクリーンセーバー機能はホルダーでの充電時だけでなく、他の充電器で充電しているときにもオンにできます。
スタンドやスピーカー機能が要らなければ、他の部屋で使いたいときはUSB PD充電器を用意するだけで済みます。
明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大406nitsに達しました。
屋内で使う分には十分な明るさです。
明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。
屋内では400~500nits程度、屋外では800~1000nits程度でないと見にくいとされています。
ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。
リフレッシュレートは残念ながら60Hzのみ対応です。
60Hzで気にならない人には良いと思いますが、私は120Hzに慣れているのでどうしてもガクガクしているように見えます。
WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は24.7ms、画面描画遅延は40.2msで合計64.9msでした。
遅延が大きめで、リズムゲームなどには向いていません。
画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。
この数値が小さいほど、素早く反応するということです。
ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。
Widevine L1で、Amazonプライムビデオ (ベータ版) などでHD画質でのストリーミング再生ができます。
背面:指紋が付きにくい
Pixel Tabletの背面はマット加工されており、指紋汚れなども気にせずに済みます。
プラスチックで高級感はあまりありません。
重さ488.2gです。
カメラ:ほぼ出っ張り無し
Pixel Tabletのカメラは8MPで、ほとんど出っ張っていません。
メモ程度には使えます。
フォトアプリでは消しゴムマジックやボケ補正などが使えるため、ニアバイシェアで他のスマホから写真を送ってPixel Tabletで編集する、というような使い方も良さそうです。
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スピーカー:広がりが悪い
Pixel Tabletはステレオスピーカー搭載です。
Pixel Tablet本体のスピーカーでは低音よりも高音が強めで、奥の方で縮こまっているように聞こえます。良く言えば奥行きがある、とも言えますが広がりがありません。
逆に充電スピーカーホルダー装着時はモノラルで低音がかなり強くなり、少しこもったような音で前に出てきます。
音量バランスも違いますし、ホルダー装着時に音量調整しないといけないのが面倒です。
タブレット側のスピーカーも併用してくれればマシになると思うのですが、今のところホルダー装着時は本体スピーカーはオフになります。
Cirrus Logic CS35L41アンプを搭載しています。
WALT Latency Timerでオーディオ出力遅延を計測すると42.5msでした。
ポート:高速なデータ転送が可能
Pixel TabletのUSB Type-CポートはUSB 3.2 Gen 1対応で、動画などを高速に転送できます。
ニアバイシェアのPC版がリリースされたとはいえ大量のファイルをやりとりしたい時は有線のほうが良いですし、USB 2.0にしなかったところは良いと思います。
残念ながらDisplayPort Alt Modeでの映像出力は無効化されています。
一般的なタブレットは向かって左上に電源ボタンと音量ボタンが配置されていることが多いのですが、Pixel Tabletでは右上にあります。
Pixelスマホでは一般的な配置と違う順番の配置にして握ったときの誤操作を誘発していますし、逆張りが好きなのでしょうか…。
独自色を出したいのでしょうが、ユーザーからすると慣れない配置で混乱を生むだけで、配置を変える合理的な理由は見当たりません。
OS:タブレットへの最適化は未だ不十分
Pixel TabletはAndroid 13搭載で、画面分割やナビバーでのアプリ切り替えが楽になるタスクバーなどを搭載しており、大画面を活かしやすい設計になっています。
ただ標準設定ではすべてのアプリが画面分割に対応しているわけではないですし、Twitterなど一部アプリは横画面時に全画面表示されず縮小表示を強制されます。
縮小表示では左右と中央どこに表示するか選べるものの、全画面表示や他のアスペクト比で表示させる選択肢も用意してもらいたかったです。
他社のちゃんとしたタブレットにはそのような機能が搭載されていることが多いです。
性能:普段使いには十分だがゲーム性能は…
Pixel TabletはGoogle Tensor G2 (実質的にはSamsung Exynosのカスタム版のようなもの) を搭載しており、動画再生やウェブサイト閲覧などの普段使いはスムーズに行えます。
ただし今のSamsung製SoCに共通する発熱問題を抱えており、ゲームへの最適化も進んでいないようで、ベンチマーク通りの性能を常に発揮できるわけではありません。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1457・マルチコア3821でした。
ベンチマーク上ではSnapdragon 8+ Gen 1やMediaTek Dimensity 9000に近いスコアです。
AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。
通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。
メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。
そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。
こちらの記事で詳しく解説しています。
背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。
2023年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。
ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア1862→1552で、34.9℃ほどまで温度上昇しました。
何故か温度やバッテリーの推移は表示してくれませんでした。
Snapdragon 7+ Gen 2に若干劣りDimensity 8200-Ultraに勝るスコアであるものの、実際のゲームでは最適化がうまくできておらずベンチ通りの性能を発揮できないため、左記2つの機種に劣るフレームレートになります。
ポテンシャルはあるので改善できそうですが、Googleはゲームプレイを重視していないので見込みは薄いです。
Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。
スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。
発熱とバッテリー消費とのバランスも重要で、安定度が高くて温度とバッテリー消費が少ないものが理想です。
2023年現在は2000以上あれば、大抵のゲームをグラフィック設定を極端に落とすことなく快適にプレイできるでしょう。
あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかなく、実際のゲームの挙動は最適化や放熱性能、解像度など様々な要因で変動するため、「このスコアならだいたいこんな動きをするだろう」という推測の材料にする程度に収めてください。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア10096でした。
普段使いは十分スムーズに行えます。
ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。
2023年現在は8000以上あれば十分です。
UFS 3.1ストレージ、LPDDR5メモリを搭載しています。
ランダムリード・ライト共にトップクラスの速度で、アプリ使用時の快適さを優先したチューニングなのだと思います。
動画エンコード時などの大きなファイルの読み書きに影響するシーケンシャルのほうは遅めで、重要視していないようです。
シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。
ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。
原神を最高画質・60FPS設定・スメールでプレイしてWeTest PerfDogで計測すると、平均49.9FPSで1FPSあたり146.38mWの消費電力でした。
バッテリー温度は最大35.8℃程度まで上昇しました。
燃費が悪くフレームレートが安定せず、ジャンクが多くて体感の滑らかさも悪い、と踏んだり蹴ったりです。
平均27.8FPSしか出せないPixel 7aよりはマシですが…。
1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。
電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。
ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。
平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。
(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)
まとめ
- ハブで固定設置できる
- 普段使いはスムーズなそこそこの性能
- USB 3.2 Gen 1ポート
- 5年間のアップデート保証
- スピーカーのバランスが微妙
- 60Hzリフレッシュレート
- タブレットにしては熱くなりやすい
- 一部アプリは全画面表示できない
- ボタン配置が特殊で混乱する
Pixel Tabletは普段使いは十分快適に使える性能を持ち、ホルダーに装着することでNest Hubよりも高機能なスマートハブとして活用できます。
正直なところXiaomi Pad 5のほうが安価なのに120Hzリフレッシュレートやスタイラスペンに対応していますし、今の時点ではタブレットとしてはPixel Tabletには特出したメリットがないためコスパは悪いと言わざるを得ません。
スマートハブ用途に価値を感じる人には刺さると思います。
内部的には専用スタイラスペンとキーボードを開発中である痕跡が残っており、Android 14ではスタイラスとキーボード周りの改善がいくつも入っているため、Android 14が正式リリースされる頃まで待てばオフィス用途などにより使いやすくなるかもしれません。
79,800円~で購入できます。