ASUS Zenfone 10 日本版を貸し出していただきました。
高性能ながらもコンパクト
ASUS Zenfone 10はSnapdragon 8 Gen 2 (通常版) を搭載しています。
5.9インチのディスプレイを搭載し、サイズは146.5 × 68.1 × 9.4mm、重さは173.8gというコンパクトなスマホです。
Zenfone 9から引き継いだ部分が多く見受けられるものの、リフレッシュレートは144Hzにまで引き上げられており、地味にインカメラはXiaomi 13 Ultraと同じRGBWセンサーになっています。
このレビューは16GB+512GB版・WW_AI2302_33.0220.0220.43で行っています。
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
- コンパクトで重さ173.8g
- 144Hz対応AMOLED
- 3.5mmイヤホンジャックあり
- IP68防水防塵
- FeliCa・おサイフケータイ対応
- 充電速度は30Wで遅め
- インカメラが目立ちやすい
- サイズの都合上、熱で性能が落ちやすい
- 低音で背面が振動する
ASUS Zenfone 10 (AI2302) | |
---|---|
OS | Android 13 |
RAM | 8GB / 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 128GB / 256GB / 512GB UFS 4.0 |
SoC | Snapdragon 8 Gen 2 |
ディスプレイ | 5.9インチ FHD+ 2400 x 1080 アスペクト比 20:9 144Hzリフレッシュレート AMOLED |
サイズ | 146.5 × 68.1 × 9.4mm |
重さ | 172g (実測173.8g) |
SIM | nano SIM + nano SIM |
リアカメラ | 50MP (OIS / Sony IMX766) + 13MP (超広角 OmniVision OV13B) |
フロントカメラ | 32MP (OmniVision OV32C) |
バッテリー | 4300mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 2.0) |
バンド | 5G: n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n38/n41/n77/n78 4G: B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28 B34/B38/B39/B40/B41/B42 3G: B1/B2/B4/B5/B6/B8/B19 2G: 850/900/1,800/1,900MHz |
目次
説明書、保護ケース、充電ケーブル、充電器などが付属しています。
保護ケースは固めなタイプです。
保護フィルムは貼り付けられていません。
ディスプレイ:屋外でもそこそこ見やすい
ASUS Zenfone 10は5.9インチ FHD+ 2400 x 1080解像度のディスプレイを搭載しています。
手の中に収まりやすいサイズ感です。
Samsung AMOLEDを採用しており、配列はダイヤモンドピクセルです。
明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大647nitsに達しました。
屋外では高輝度モードが発動し、748nitsになることを確認できました。日中の屋外でもそこそこ見やすいです。
明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。
屋内では400~500nits程度、屋外では800~1000nits程度でないと見にくいとされています。
ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。
リフレッシュレートは144Hz対応です。
ただし144Hzで動くのはゲームとして追加したアプリの動作中にGame Genieで144Hzにした場合のみで、普段は120Hzで動作します。
144Hzに設定すると画面が30nitsほど明るくなります。
タッチサンプリングレートをTouch Sample Rate Testerで計測すると、シングルタッチ・マルチタッチともに平均240Hz程度でした。
120Hz時にWALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は13.6ms、画面描画遅延は28.2msで合計41.8msでした。
144Hz時では合計36.5msと少し小さくなりました。
画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。
この数値が小さいほど、素早く反応するということです。
ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。
Widevine L1で、Amazonプライムビデオ (ベータ版) などでHD画質でのストリーミング再生ができます。
インカメラの周りは銀色になっており、光の反射で目立ってしまいやすいです。
背面:指紋は付きにくい
Zenfone 10の背面は少しざらっとした柔らかめな素材で、指紋は付きにくいです。
ただし油分が一度付くと凹凸のせいで汚れを落としにくいことがあります。
重さは173.8gです。
Snapdragon 8 Gen 2を搭載したスマホで170g台のものは限られていますし、高性能かつ軽量なスマホが欲しいならZenfone 10は有力候補となるでしょう。
カメラ:彩度が高め
Zenfone 10は50MP (OIS / Sony IMX766) + 13MP (超広角 OmniVision OV13B) というデュアルカメラ構成です。
手持ち撮影した写真はこちらに保存しています。
彩度が高めで、空の色は実際よりもかなり濃く映ります。
2倍ズームできるボタンが用意されており、そこそこ綺麗に撮影できます。
ただ1倍と比べると若干白飛びしやすいようです。
夜景モードでは少しの明かりでも、肉眼よりも明るく撮影できます。
ライトトレイルなど色々な撮影方法が用意されています。
6軸ジンバルモジュールとAdaptive EISを搭載しており、HyperSteady手ぶれ補正をオンにすれば小走りで動きながら撮影してもガタガタせず、滑らかな動画を撮影できます。
HyperSteadyではFHD・30FPSまでに制限されます。
Adaptiveであれば揺れに応じて自動的に調整され、4K・60FPS (非HDR) でも撮影できます。
スピーカー:低音で背面が振動する
Zenfone 10は受話口と兼用タイプのステレオスピーカー搭載です。
ボーカルや高音のほうが聞こえやすく、ベースなど低音を再生すると背面がドンドンと振動してしまいます。
低音を聞くというより指で感じるような状態なので、臨場感という意味では良いかもしれませんが、長時間聞いていると指がジンジンとしてしまいます。
上部にはイヤホンジャックがあります。
WALT Latency Timerでイヤホンジャックのオーディオ出力遅延を計測すると34.5msでした。
BluetoothではLDACのほかAAC / aptX / aptX HD / aptX Adaptiveなどにも対応しています。
Snapdragon Sound with aptX Lossless対応で、対応イヤホンであれば低遅延・高音質な音楽再生が可能となります。
ポート:30W有線 + 15W無線充電
Zenfone 10はIP68防水防塵で、多少の水濡れは問題ありません。
USB Type-CポートはUSB 2.0で、30W充電に対応しています。最近のハイエンドスマホとしては遅めです。
Zenfone 9では対応していなかったQi ワイヤレス充電に対応しており、15Wで充電できます。
対応バンドは
- 5G: n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n38/n41/n77/n78
- 4G: B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28
- B34/B38/B39/B40/B41/B42
- 3G: B1/B2/B4/B5/B6/B8/B19
- 2G: 850/900/1,800/1,900MHz
でY! mobileやSoftBank、LINEMOといったSoftBank系の回線はもちろん楽天モバイルでもauパートナーエリア含め利用可能で、ahamo、IIJmioなどのdocomo回線でも概ね問題ないでしょう。
電源ボタンや音量ボタンは右側面に揃っています。
電源ボタンに指紋認証センサーが内蔵されており、素早くロック解除できます。
ボタンを触ったときと押したときどちらで認証するか選べます。
私の場合「端末のスリープを解除する」をオンにした直後だと「押す」が選ばれているのに触ったときにロック解除されてしまいましたが、ロック解除方法を選び直すと直りました。
性能:コンパクトスマホでは最高レベル
Zenfone 10はSnapdragon 8 Gen 2を搭載しており、普段使いのアプリやゲームも高速に処理してくれます。
ただコンパクトな本体で放熱するのはなかなか難しいようで、長時間のプレイにはあまり向いていません。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1294・マルチコア4387、通常版でシングルコア1257・マルチコア4835でした。
ベンチマークアプリを判別して自動的に高性能モードがオンにされてしまいますが、オフにできるため公平性を保つためオフにして計測しています。
マルチコアに若干差があるものの、高性能モードの自動オン以外の方法での大きなブーストはないようです。
AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。
通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。
メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。
そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。
こちらの記事で詳しく解説しています。
背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。
2023年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。
ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア3655→1826で、温度上昇は26℃→40℃ (14℃上昇)でバッテリー消費は7%でした。
スロットリングが早く、ピーク時のおよそ半分の性能になった後は安定しています。
Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。
スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。
発熱とバッテリー消費とのバランスも重要で、安定度が高くて温度上昇とバッテリー消費が少ないものが理想です。
2023年現在は2000以上あれば、大抵のゲームをグラフィック設定を極端に落とすことなく快適にプレイできる傾向にあります。
あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかなく、実際のゲームの挙動は最適化や放熱性能、解像度など様々な要因で変動するため、「このスコアならだいたいこんな動きをするだろう」という推測の材料にする程度に収めてください。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア15300でした。
ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。
2023年現在は8000以上あれば十分です。
UFS 4.0ストレージ、LPDDR5Xメモリを搭載しています。
リード・ライト共にかなり高速です。
シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。
ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。
原神をパフォーマンスモード・最高画質・60FPS設定・フォンテーヌ (水中→陸上) でプレイしてWeTest PerfDogで計測すると、平均56.4FPSで1FPSあたり86.16mWの消費電力でした。
バッテリー温度は最大40℃程度まで上昇しました。
40℃を超えたあたりでフレームレートが45FPS上限に制限されたため、15分以上のプレイではもっと平均FPSが落ちると思われます。
省電力なのは良いところではあるもののコンパクトな筐体では放熱が難しく、外部クーラーなしには長時間プレイはできなさそうです。
1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。
電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。
ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。
平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。
(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)
崩壊:スターレイルを最高画質・仙舟「羅浮」で15分プレイすると平均35.6FPSでした。
発熱しやすいGPUの使用を抑制するようになっているためか、GPUに頼りがちなスターレイルでは原神よりもフレームレートが振るわない結果となりました。
OS:スタイルを変更できる
Zenfone 10はAndroid 13ベースのROMを搭載しており、基本的には純正Android・AOSPに近いスタイルです。
セットアップ時にUIのスタイルを純正AndroidかASUSオリジナルのどちらにするか選べるため、クイック設定や音量バー、電源メニューなどの見た目を好みに合わせて変えられます。
他社だと大抵自社オリジナルのスタイルを強制されてしまいますが、ZenfoneならPixelなどからの乗り換えでも違和感なく使えます。
Game Genieゲームモードではリフレッシュレートの固定やマクロ、放置時の画面タップ無効化などの機能を使えます。
残念ながらバイパス充電は利用できません。
パフォーマンスモードやリフレッシュレート設定はゲームごとに指定しておくこともできます。
なお、ここで144Hzにしたからといって元から144FPS非対応のゲームが144FPSで動くようになるわけではありません。あくまでも画面モードの上限値を変えるだけです。
画面分割では、左右どちらに表示させるか一発で切り替えられるボタンが用意されています。
OSとしてはWi-Fi 7に対応しているようです。
ASUSのWi-Fi 7対応ルーターが出たら即買い換える予定なので、早く日本で発売してほしいです…。
まとめ
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
- コンパクトで重さ173.8g
- 144Hz対応AMOLED
- 3.5mmイヤホンジャックあり
- IP68防水防塵
- FeliCa・おサイフケータイ対応
- 充電速度は30Wで遅め
- インカメラが目立ちやすい
- サイズの都合上、熱で性能が落ちやすい
- 低音で背面が振動する
ASUS Zenfone 10はコンパクトながらも高い性能を持っており、普段使いはもちろんゲームもサクサク動かせます。
ただ放熱は本体が小さいゆえに厳しく、長時間プレイをするなら外部クーラーがないとフレームレートは落ちます。
イヤホンジャック、IP68防水防塵、おサイフケータイと日本人好みの機能を取りそろえていますし、小型で軽量なスマホが欲しい方におすすめです。
Zenfone 10は99,800円~で購入でき、9月8日に発売します。
グローバル版が$699 (約10.3万円) ~なので円安とはいえレートを超える値上げはしておらず、むしろ安めなぐらいです。