ASUS ROG Phone 8レビュー。パンチホールと引き換えに軽量化した8 Gen 3ゲーミングスマホ

ROG Phone 8

ASUS ROG Phone 8を貸し出していただきました。

メイン使いしやすく変化

ROG Phone 8はSnapdragon 8 Gen 3を搭載したゲーミングスマホです。

重さ239gだったROG Phone 7から225gへと軽量化し厚みも8.9 mmに薄くなった一方、パンチホールが追加されフロントステレオスピーカーも廃止されてしまいました。

普段使いはしやすくなったものの、他社のハイエンドスマホとの大きな差別化要因が消えたのは痛手です。

このレビューは12GB+256GB版・WW_34.1210.1210.54で行っています。

  • 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 3
  • 1600nitの明るいディスプレイ
  • ワイヤレス充電対応5,500mAhバッテリー
  • バイパス充電対応
  • USB 3.2 Gen 1ポートで映像出力対応
  • 3.5mmイヤホンジャック搭載
  • IP68防水防塵
  • スペックを考えると妥当だが重い
  • 邪魔なパンチホールが追加
  • フロントステレオスピーカー廃止
ROG Phone 8 (AI2401)
OS Android 14
RAM 12GB / 16GB LPDDR5X
ストレージ 256GB  UFS 4.0
SoC Snapdragon 8 Gen 3
ディスプレイ 6.78インチ
FHD+ 2400×1080
アスペクト比 20:9
165Hzリフレッシュレート
AMOLED
サイズ 163.8×76.8×8.9 mm
重さ 225g (実測228.9g)
SIM nano SIM + nano SIM
リアカメラ 50MP (OIS / Sony IMX890)
+ 5MP (マクロ)
+13MP (超広角)
フロントカメラ 32MP
バッテリー 5,500mAh
USB端子 USB Type-C (USB 3.2 Gen 1) x1
USB Type-C x1
バンド 5G SA: n3 / n5
5G NSA: n1 / n8 / n28a / n41 / n77 / n78 / n79
4G FDD-LTE: B1 / B2 / B3 / B4 / B5 / B7 / B8 / B18 / B19 / B26 / B28a
4G TDD-LTE: B34 / B38 / B39 / B40 / B41 / B42 / B48
WCDMA: 800 / 850 / 900 / 1700 / 1900 / 2100MHz
CDMA: BC0 800MHz

ROG Phone 8

ディスプレイ:屋外でも見やすい

ROG Phone 8は6.78インチFHD+解像度のディスプレイを搭載しています。

Samsung製AMB678が採用されており、これまで採用していたリジッドタイプとは異なりフレキシブルタイプで、おそらくコストが増えています。

フレキシブルのほうが軽量になりやすいため、本体重量の軽量化にも一役買っていると思われます。

ディスプレイ

ベゼルが細くなった代わりに、残念ながらパンチホールが追加されてしまいました。

そのため、ROG Phone 7と違ってゲームの映像が遮られてしまう部分ができます。

ただのハイエンドスマホならパンチホール採用は別に普通のことですが、ゲームへの没入を最重要視するべきゲーミングスマホとしては致命的な改悪と言えます。

今の時代には画面下カメラ技術 (REDMAGIC 9 Proが採用) もあるのですし、ベゼルレスよりもパンチホールレスを重視してもらいたかったです。

パンチホール

明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大1174nitに達しました。

屋外では高輝度モードが発動し、1611nitになることを確認できました。日中の屋外でもかなり見やすいです。

明るさ

nitとは?

明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。

屋内では400~500nit程度、屋外では800~1000nit程度でないと見にくいとされています。

ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。

リフレッシュレートは165Hz対応で、120Hzも選べます。

なお、adb shellでsettings put system peak_refresh_rate 1を実行すると即データが破損してadb接続すらできず、リカバリで初期化しないといけない状態になりました。他機種のようなリフレッシュレート固定はできないと考えたほうが良さそうです。

リフレッシュレート

ゲームとして設定したアプリでは、カスタム設定で720Hzタッチサンプリングレートを有効化できます。

他にもスライド感度やMSAA、最大リフレッシュレートなども設定できます。

ゲーム

165Hzリフレッシュレート時にタッチサンプリングレートを720Hzに設定してTouch Sample Rate Testerで計測すると、シングルタッチ・マルチタッチともにInput Event Invoke Rateは165Hz、Movement Rateは800Hz程度でした。

タッチサンプリングレート

165Hzリフレッシュレート + 720Hzタッチサンプリングレート時にWALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は7ms、画面描画遅延は27.5msで合計34.5msでした。

タッチ遅延

タッチ遅延とは?

画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。

この数値が小さいほど、素早く反応するということです。

ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。

背面:カメラの厚みが増加

背面はツートンで、ロゴがある部分は指紋汚れなどが付きにくいです。

ROG Phone 8

本体は薄型になった一方、カメラの出っ張りは大きくなっているため、机においたときのガタつきはROG Phone 7よりも大きいです。

同じ厚さ8.9mmのREDMAGIC 9 Proはカメラの出っ張りをなくしてガタつきをほぼゼロにしているため、どうにも見劣りします。

厚み

重さは228.9gです。

ROG Phone 7より軽いとはいえまだまだ重たく、ROG Phone 8は5,500mAhバッテリーしか搭載していないのに6,500mAhバッテリー搭載のREDMAGIC 9 Proとやっと同じぐらいの重さになったという程度です。

普段使いしやすくすることを主眼に置いているのであればもっと軽量化するべきですし、それができないなら軽量化を諦めてゲーム特化にしたほうが中途半端にならずに済んだのではないかと思います。

重さ

カメラの画質は十分良いと思います。

カメラ

スピーカー:臨場感あるサウンド

ROG Phone 8はステレオスピーカー搭載です。

これまではフロントステレオスピーカーを搭載していましたが、ROG Phone 8では普通のハイエンドスマホと同じく左右非対称のステレオスピーカーに退化しました。

3.5mmイヤホンジャックを搭載しており、有線イヤホンを変換アダプターなしに使えます。

低音が強く、奥行きがあるように感じられます。高音はやや潰れがちなものの、ボーカルは前に飛び出てくるように聞こえてきます。

スピーカー

WALT Latency Timerでオーディオ出力遅延を計測すると34.5msでした。

オーディオ

DIRACを搭載しており、イコライザーやサウンドモードを変えて自分好みに調整できます。

サウンド通話時にはノイズキャンセリングも使えるため、クリアな通話が可能です。

通話時間に応じて振動させることもできるので、5分通話無料などのプランに入っている場合は便利そうです。

通話

ポート:2つのポートを搭載

ROG Phone 8はIP68防水防塵で、多少の水濡れは問題ありません。

スピーカー

側面にもUSB Type-Cポートがあるため、横持ちしたときに充電やUSB Type-Cイヤホンを使いたい場合でもケーブルが邪魔になりません。

USB Type-C

バイパス充電を使えるので、バッテリーを充電することなく直接給電して発熱や負荷を抑えられます。

充電を低速にする、指定した時間に充電させる、指定%までに充電を制限するといったバッテリー寿命を延ばせるオプションも豊富に用意されています。

バイパス充電

ゲーム時にはバッテリーが残りどれぐらい持つか表示してくれる機能もあり、地味に便利です。

ゲーム

電源ボタンや音量ボタンは右側面にあります。

USB Type-C端にあるのはショルダートリガーで、画面を触ることなく操作ができるようになります。

通常だと操作しにくい部分も素早く押せますし、ゲームによっては片手持ちで進められます。

上下左右などに動かしてアクションを起こす「モーションコントロール」もあります。

ショルダートリガー

性能:高い性能と省電力を両立

ROG Phone 8はSnapdragon 8 Gen 3を搭載しており、原神や崩壊:スターレイルといった重量級ゲームも余裕で60FPSプレイできます。

 

Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア2252・マルチコア6998、通常版でシングルコア2256・マルチコア6865でした。

ベンチマークアプリを起動すると勝手にXモード (パフォーマンスモード) がオンになりますが、通知が出てきて手動でオフにできます。ベンチマーク時のみ挙動を変えるのはULなどでは利用規約で禁止されているため、オフにして計測しています。

Geekbench

パッケージ名偽装の必要性

AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。

通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。

メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。

そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。

こちらの記事で詳しく解説しています。

Geekbenchのスコアとは?

背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。

普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。

2024年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。

ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。

パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア4827→3321で、温度上昇は23℃→39℃ (16℃上昇)でバッテリー消費は11%でした。

他の8 Gen 3スマホと比べると、通常時は省電力重視のためかほんの少し控えめな性能になるよう調整しているようです。

そうはいっても最低値が8 Gen 2のピーク値と同じぐらいですし、発熱した後でもまだまだ余裕があります。

3DMark

3DMarkのスコアとは?

Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。

スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。

発熱とバッテリー消費とのバランスも重要で、安定度が高くて温度上昇とバッテリー消費が少ないものが理想です。

2024年現在は2000以上あれば、大抵のゲームをグラフィック設定を極端に落とすことなく快適にプレイできる傾向にあります。

あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかなく、実際のゲームの挙動は最適化や放熱性能、解像度など様々な要因で変動するため、「このスコアならだいたいこんな動きをするだろう」という推測の材料にする程度に収めてください。

ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア13320でした。

PCMark

PCMarkのスコアとは?

ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。

高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。

2024年現在は8000以上あれば十分です。

UFS 4.0ストレージ、LPDDR5Xメモリを搭載しています。

リード・ライト共にトップクラスの速度です。

CPDT

ストレージ性能とは?

シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。

ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。

原神をXモード・最高画質・60FPS設定・フォンテーヌ (水中→陸上) でプレイしてScene 6で計測すると、平均61.0FPSで1FPSあたり90.82mWの消費電力でした。

バッテリー温度は最大34.6℃程度まで上昇しました。

原神

電力効率と平均FPSとは?

1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。

電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。

ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。

 

平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。

(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)

崩壊:スターレイルを最高画質・仙舟「羅浮」で15分プレイすると平均61.2FPSでした。

HSR

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OS:日本語対応

ROG Phone 8は今のところBootloader UnlockできずEDL ROMも出ていないものの、AliExpressでは何故か中国版の本体にグローバル版ROMがインストールされた「Global Version」が販売されています。

どうやら中国の業者にはEDLでROM焼きするツールが出回っているようで、おそらくじきに一般にも出回ると思います。

日本語

クイック設定や音量パネルなどの表示は、Android純正かASUSカスタマイズどちらにするか選べます。

基本的にはASUSオリジナルのほうが使いやすいと思いますが、Pixelからの乗り換えなどでは純正Androidのほうが違和感なく使えると思います。

ASUS

ダブルタップで画面オンオフなど豊富なジェスチャー操作に対応しています。

ジェスチャー

まとめ

  • 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 3
  • 1600nitの明るいディスプレイ
  • ワイヤレス充電対応5,500mAhバッテリー
  • バイパス充電対応
  • USB 3.2 Gen 1ポートで映像出力対応
  • 3.5mmイヤホンジャック搭載
  • IP68防水防塵
  • スペックを考えると妥当だが重い
  • 邪魔なパンチホールが追加
  • フロントステレオスピーカー廃止

中途半端に普段使いのしやすさを改善しようとした結果「パンチホール追加」「フロントスピーカー廃止」「バッテリー容量500mAhダウン」などゲーム体験を損ねるダウングレードをされてしまいましたが、性能的には文句なしですしバイパス充電などバッテリー保護にも力が入れられていて長く使えそうです。

ガワがREDMAGIC 9 Proで中身がROG Phone 8だったら完璧なのですが、そうそううまくいかないものですね…。

 

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ASUSストアではROG Phone 7が在庫切れになっているため、もうすぐ日本版も登場するものと思われます。

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