REDMAGIC 8S Proレビュー。高クロック版8 Gen 2に冷却ファン搭載のゲーミングスマホ

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REDMAGIC 8S Pro

日本版の発売に先駆け、REDMAGIC 8S Proを貸し出していただきました。

最高峰の性能を持つゲーミングスマホ

REDMAGIC 8S Proは高クロック版Snapdragon 8 Gen 2 Leading Versionを搭載したスマートフォンです。

最近のハイエンドスマホにありがちな「エッジディスプレイ」「パンチホール」「角丸」を画面占有率93.7%のフラットディスプレイと画面下インカメラで解決しており、何にも邪魔されることなくゲームや映像に没入できます。

ショルダートリガーやマクロ、充電分離などゲームプレイに役立つ機能も盛りだくさんです。

REDMAGICといえばシステムに未訳や誤訳が大量にあることで知られていましたが、新しい日本代理店が頑張ってくれたおかげでかなり改善されています。

このレビューはREDMAGICOS8.0.9_NX729J_GB、12GB+256GB版で行っています。

  • ベゼルレスかつ画面下カメラの全画面スマホ
  • 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
  • 冷却ファン・ショルダートリガー搭載
  • 充電分離でバッテリー負荷軽減
  • 6,000mAh大容量バッテリー
  • 3.5mmイヤホンジャックあり
  • USB 3.2 Gen1で映像出力も可能
  • 重たい
  • 角張っていて若干持ちにくい
  • 画面の明るさ関係の挙動が少し不安定
  • スピーカー音質が微妙
REDMAGIC 8S Pro NX729J
OS Android 13
RAM 12GB / 16GB LPDDR5X
ストレージ 256GB / 512GB UFS 4.0
SoC Snapdragon 8 Gen 2 Leading Version
ディスプレイ 6.8インチ
FHD+ 2480 x 1116
アスペクト比 20:9
LTPO 120Hzリフレッシュレート
AMOLED
サイズ 163.98×76.35×9.47mm
重さ 228g (実測228.5g)
SIM nano SIM + nano SIM
リアカメラ 50MP (Samsung S5KGN5)
+ 2MP (マクロ GC02M1)
+ 8MP (超広角)
フロントカメラ 16MP (OV16E1Q)
バッテリー 6,000mAh
USB端子 USB Type-C (USB 3.2 Gen1)

箱

説明書、ハードタイプの保護ケースや充電ケーブル、充電器などが付属しています。

ケースは上下と背面だけを保護するもので、サイドは全く保護できません。

保護フィルムは最初から貼り付けられています。

ただフィルムはかなり弱く普通に使っていても気泡が入ったようになったり埃がやたらと付いたりするので、サードパーティー製のフィルムを貼った方が良いと思います。

付属品

デル株式会社

ディスプレイ:映像を遮るものなし

REDMAGIC 8S Proは6.8インチ FHD+ 2480 x 1116解像度のディスプレイを搭載しています。

角丸が最小限で、エッジではないフラットなディスプレイのおかげで端から端まで見やすいです。

ただ角張っているため、角が当たって持ちにくく感じることもあります。

ディスプレイ

インカメラは画面下に内蔵されており、直射日光に当てて斜めから見るなど意図して見ようとしない限り気付かないほど綺麗に隠れています。

インカメラでは白っぽくソフトな写真になってしまうものの、eKYC本人確認や顔認証に使う分には問題ありません。

インカメラ

配列はダイヤモンドピクセルです。

AMOLED

拡張表示モード・明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、徐々に明るさが上がり最大713nitsに達しました。

屋外での高輝度モードが発動したりしなかったりと不安定な感じで、非HDRの高輝度モードでは520nits程度しか確認できませんでした。

横持ちでのゲームプレイ中などに急に画面が暗くなる (発熱での制限ではなく) こともあり、明るさセンサーに何かバグがあるのではないかと思います。

輝度

nitとは?

明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。

屋内では400~500nits程度、屋外では800~1000nits程度でないと見にくいとされています。

ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。

リフレッシュレートは120Hz対応です。

公式サイトでは120Hzの違いの説明に原神が使われているものの、原神は最大60Hzなので120Hzの効果を示す例としては不適切です。同じ動画をフレームレートを落として並べただけという雑比較…。

タッチサンプリングレートは最大960Hzで、ゲームモードで有効化できます。

タッチサンプリングレート

タッチサンプリングレートをTouch Sample Rate Testerで計測すると、シングルタッチ・マルチタッチともに通常時で平均240Hz程度、960Hz時で平均870Hz程度でした。

タッチサンプリングレート

WALT Latency Timerでビヨンドモード・タッチサンプリングレート960Hzで計測したタッチ遅延は9.9ms、画面描画遅延は32.2msで合計42.1msでした。

タッチ遅延は良いのですが、ゲーミングスマホとしては画面描画が若干大きいです。

タッチ遅延

タッチ遅延とは?

画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。

この数値が小さいほど、素早く反応するということです。

ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。

Widevine L1で、Amazonプライムビデオ (ベータ版) などでHD画質でのストリーミング再生ができます。

Widevine

背面:冷却ファン使用時に光る

背面は冷却ファンを中心とした同心円模様で凹凸があり、指紋汚れなどが付きにくいです。

ゲーミングスマホとしては落ち着いたデザインで、普段使いもしやすそうです。

カメラは出っ張っているため、机の上においた時に少しガタガタとします。

ゲーミングスマホにカメラを求める人はいないと思うので、薄型化するかPixel 7のように横幅一杯に伸ばしてガタガタしないようにしてもらいたいです。

背面

冷却ファンは見えないものの、ファン使用時にはLEDが点灯することで回っている様子を感じられるようになっています。

LED

重さは228.5gです。

大容量バッテリーや冷却機構などが盛りだくさんなので仕方がない面もありますが、やはり重たいです。

重さ

スピーカー:低音や高音があまり出ない

REDMAGIC 8S Proは1216+1115Kのステレオスピーカー搭載です。

上部側面にスピーカー穴があるタイプで、左右非対称です。

スピーカーはボーカルが大きめに聞こえるものの、低音や高音はスカスカとしています。

3.5mmイヤホンジャックもあるため、有線イヤホンで低遅延にしつつゲームをプレイできます。

スピーカー

DTS:X Ultraはイヤホンだけでなくスピーカーでも有効化されます。

DTS:X Ultra

WALT Latency Timerでイヤホンジャック接続時のオーディオ出力遅延を計測すると24.6msでした。

オーディオレイテンシー

BluetoothではLDACのほかaptX / aptX HD / aptX Adaptiveなどにも対応しています。

Snapdragon Sound with aptX Losslessも利用できます。

Bluetooth

ポート:映像出力対応、65W急速充電も

バッテリーは65W急速充電対応で、6000mAh容量です。

ポート

DisplayPort Alt Modeでの映像・音声出力にも対応しています。

ミラーリングするにはケーブルで接続するだけでも良いですが、REDMAGIC Studioを使えばゲームをプレイしつつ他のアプリを使うようなこともできます。

REDMAGIC 8S Proの画面を仮想ジョイスティックとして使う機能も用意されているため、コントローラーなしでもある程度操作しやすくなります。

モニター

REDMAGIC 8S Proの対応バンドは

  • 2G GSM 2/3/5/8
  • 3G WCDMA B1/3/6/8/19
  • 4G TTD-LTE Band 34/41
  • 4G FDD-LTE Band 1/3/8/18/19/26/28
  • 5G NR n78/ n77

Y! mobileSoftBankLINEMOといったSoftBank系の回線はもちろん楽天モバイルでもauパートナーエリア含め利用可能で、ahamoIIJmioなどのdocomo回線でも5G以外なら概ね問題ないでしょう。

右側面には電源ボタンのほかゲームモードを呼び出すスイッチやタッチ式のショルダートリガーがあります。

トリガー

ショルダートリガーはゲームモードにて左右それぞれを好きな位置に割り当てられ、同時に二箇所押したことにしたり長押し時に連打させたりできます。

通常だとやりにくい操作をワンタッチでできるため、ゲームプレイがより快適になります。

ショルダートリガー

左側面には音量ボタンがあります。

左側面

性能:国内最高レベル

REDMAGIC 8S ProはSnapdragon 8 Gen 2 Leading Versionを搭載しており、通常の8 Gen 2よりも高クロックです。

SoC

Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1728・マルチコア4706、通常版でシングルコア2100・マルチコア5724でした。

特にマルチコアで大きな差が出ているため、パッケージ名判定での性能制御を行っているようです。

Geekbench

パッケージ名偽装の必要性

AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。

通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。

メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。

そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。

こちらの記事で詳しく解説しています。

Geekbenchのスコアとは?

背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。

普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。

2023年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。

ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。

パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア3822→2916で、温度上昇は29℃→41℃ (12℃上昇)でバッテリー消費は9%でした。

3DMark

3DMarkのスコアとは?

Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。

スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。

発熱とバッテリー消費とのバランスも重要で、安定度が高くて温度上昇とバッテリー消費が少ないものが理想です。

2023年現在は2000以上あれば、大抵のゲームをグラフィック設定を極端に落とすことなく快適にプレイできる傾向にあります。

あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかなく、実際のゲームの挙動は最適化や放熱性能、解像度など様々な要因で変動するため、「このスコアならだいたいこんな動きをするだろう」という推測の材料にする程度に収めてください。

ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア12868でした。

PCMark

PCMarkのスコアとは?

ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。

高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。

2023年現在は8000以上あれば十分です。

UFS 4.0ストレージ、LPDDR5Xメモリを搭載しています。

シーケンシャルリード・ライトは速いものの、ランダムリード・ライトではUFS 4.0搭載機種としては少し遅めです。大抵のUFS 3.1搭載機種には勝っているのでそれほど大きな問題ではないでしょう。

ストレージ

ストレージ性能とは?

シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。

ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。

キャンバス解像度837p (レンダリング解像度558p?) の原神をビヨンドモード (内蔵冷却ファンオン)・最高画質・60FPS設定・スメールでプレイしてWeTest PerfDogで計測すると、平均59.5FPSで1FPSあたり109.07mWの消費電力でした。

バッテリー温度は最大42℃程度まで上昇しました。

通常版Snapdragon 8 Gen 2搭載のREDMAGIC 8 Proでは平均60.1FPSで1FPSあたり103.4mWだったため、単純に数値だけ比較するとワットパフォーマンスが若干落ちたことになります。

ただしREDMAGIC 8 Proの計測をしたのは1月で室温要因での発熱が少ない時期なので、暑い夏の部屋 (27℃程度) でも冬とほぼ変わらないパフォーマンスを維持できているのは素晴らしいと思います。

原神

電力効率と平均FPSとは?

1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。

電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。

ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。

 

平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。

(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)

崩壊:スターレイルで画質オプションをすべて最高・60FPSに設定してフィールドを15分散策した結果では、平均49.857FPSとなりました。

ただし崩壊:スターレイルの場合『フィールドの特定の地点を通ると必ずそこから先のオブジェクトを一斉に読み込む』ような動きをして一瞬FPSが落ち込むため、平均FPSだけを見てSoC性能の目安にするには微妙かもしれません。

ロードや画面遷移を挟むと平均FPSが下がるためできるだけ排除したいところですが、同じ場所に留まるわけにもいかないですしね…。

崩壊:スターレイルゲームモードのメニュー左下には「最大限のパフォーマンス」というタイルがあり、そこを押すとディアブロモードが有効化されCPU・GPUクロックが最大に固定されます。

シークレットコードやActivity Launcherで開けられるほうのディアブロモードは古い項目で、機能しないので注意してください。

ディアブロモード

ディアブロモードでヘルタ内で移動や戦闘を行った結果だと、平均58.917FPSとかなりの安定度です。

ただ9分ほどでバッテリー温度が42℃を超え、もはや手で持つのは難しいほどの熱さになりました。

ディアブロモード

OnePlus 27Wスマホクーラーを装着しながら (下の画像の25分以降) だと温度上昇を抑えられているものの、それでも15分ほどで29℃ほどまでバッテリー温度が高くなりました。

クーラー

デル株式会社

OS:翻訳が大きく改善

REDMAGICの販売を旧日本代理店が担当していた時代では、システム設定などに英語のままになっている部分や変な日本語になっている部分がいくつもありました。

Nothingと同じ代理店であるFastlane Japanに変わってからは日本語訳の修正プロジェクトが始まり、初期バージョンと比較するとREDMAGICOS8.0.9_NX729J_GBの時点でも大部分の未訳や誤訳がなくなりました。

例えば設定の「サウント」は「着信音とバイブレーション」に変わっています。

人手が足りないせいかまだまだチェック不足な部分もありますし、LineageOSやcrDroid、Bitwardenなどの翻訳に参加している身としてはできることなら協力してあげたいぐらいです。

翻訳

ゲームモードの『wifi低遅延の時』『パフォーマンスモードが「エコ」』(そんなモードは存在しない)、電池残量表示の選択肢が未翻訳などまだ微妙に変なところはあるものの、普段使いで違和感を覚えることは少ないと思います。

ゲーム

ゲームモードでは色々な機能が搭載されており、例えばリフレッシュレートを固定したり戦闘力の計測をしたりできます。

ゲームモード

「充電分離」を使えば、バッテリーを充電することなく給電できるため発熱が少なくなり、バッテリーへの負荷を下げられます。

バッテリー残量や寿命への影響を気にすることなくプレイできるので、かなり便利です。

…ここの説明も変な翻訳のままですね。

充電分離

充電分離はバッテリー残量がいくら以上のときに有効化するか設定できます。

充電分離

また、グラフィック周りのカスタマイズもできます。

アンチエイリアシングや異方性フィルタリングなどを好みに合わせて調整できます。

GPU

明るさや彩度など表示をゲームに合わせて変更する設定があります。

グラフィック

なお…REDMAGICは以前のシリーズではBootloader Unlockできていたのですが、8S Proからはコマンドが完全に削除され不可能になりました。

QFILのPartition Managerを使って古いABLを焼くことで回避できますが、今後もしEDLも塞がれれば打つ手がありません。

ROG Phoneも今のところBLU申請がストップしていますし、root化して楽しめるゲーミングスマホが皆無になったのは寂しい限りです。

まとめ

  • ベゼルレスかつ画面下カメラの全画面スマホ
  • 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
  • 冷却ファン・ショルダートリガー搭載
  • 充電分離でバッテリー負荷軽減
  • 6,000mAh大容量バッテリー
  • 3.5mmイヤホンジャックあり
  • USB 3.2 Gen1で映像出力も可能
  • 重たい
  • 角張っていて若干持ちにくい
  • 画面の明るさ関係の挙動が少し不安定
  • スピーカー音質が微妙

REDMAGIC 8S Proは高クロック版Snapdragon 8 Gen 2を搭載し、ちゃんとSoC性能を最大限発揮するためのチューニングや冷却機構を搭載しているおかげで、どこかのメーカーと違ってベンチマークだけでなく実際のゲームでも高い性能を発揮できています。

性能面以外でもパンチホールや角丸がほぼない全画面で映像を楽しめますし、充電分離や映像のミラーリング、イヤホンジャックなどゲームプレイを快適にするための機能が盛りだくさんです。

 

REDMAGIC 8S Pro日本版はミッドナイト (12GBメモリ+256GBストレージ) が113,800円、オーロラ (16GBメモリ+512GBストレージ) が139,800円です。

中国版でも12+256GBで税込10.7万円ほどなので、技適やサポートを考えれば頑張った価格だと思います。

公式サイトでは2024/02/29 23:59までクーポンRMadrを使うと、10,000円以上の注文の場合1,500円オフになります。

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