vivo iQOO Z1を購入しました。
MediaTek = 低性能はもう過去の話
vivo iQOO Z1はMediaTek Dimensity 1000+を初めて搭載した5Gスマートフォンです。
「なんだ、MediaTekだと低スペックじゃないか」と思うのは大間違い。Dimensity 1000+はなんと、Snapdragon 855+と同程度の性能を誇っているのです。
3万円台という低価格さながらも、ハイエンドに引けを取らない処理性能に5G DSDS、144Hzリフレッシュレート画面、44W超高速充電対応の4500mAhバッテリー搭載と、かなりのスペックを持ち合わせています。
vivo iQOO Z1 | |
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OS | Android 10 |
RAM | 6GB/8GB |
ストレージ | 128GB/256GB UFS 2.1 |
プロセッサ | MediaTek Dimensity 1000+ (MT6889Z/CZA) |
ディスプレイ | 6.57インチ 2408×1080 |
サイズ | 163.97 x 75.53 x 8.93mm |
重さ | 194.78g |
SIM | Nano SIM Dual SIM |
メインカメラ | 48MP + 8MP (112°超広角) + 2MP (マクロ) |
フロントカメラ | 16MP |
バッテリー | 4500mAh |
USB端子 | USB Type-C |
バンド | 2G GSM:850MHz/900MHz/1800MHz/1900MHz 2G CDMA:800MHz/1900MHz 3G WCDMA:B1/B2/B4/B5/B8 3G CDMA2000:800MHz/1900MHz 4G TDD-LTE:B34/B38/B39/B40/B41(2515-2675MHz) 4G FDD-LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B8/B18/B19/B25/B26 4G+:B1/B3/B38/B39/B40/B41 5G:n1/n3/n41(2515-2675MHz)/n77(3300-3600MHz)/n78(3300-3600MHz) /n79(4800-5000MHz) |
今回GIZTOPにてiQOO Z1を購入しました。DHLで発送から3日ほど素早く届き、角の潰れもほとんどありませんでした。
付属品はソフトケース、充電器、ケーブルと説明書等です。
充電器はUSB Type-A 1ポートです。
ただの5V / 3A充電器…と思いきや、独自実装で11V / 4A = 44Wに対応しています。
チェッカーでは8.7V / 3Aまでしか確認出来ませんでしたが、挿した機器を判定して11V / 4Aを出すかどうか決めているのだと思います。
実際にバッテリー残量2%のところから充電したところ、30分で2% → 50%、1時間16分で2% → 100%まで充電できました。
発熱も40℃前後と、バッテリーへ悪影響があるという45℃より低く押さえられています。
残念ながらUSB PDでの急速充電は非対応で、5V/0.5Aでしか充電できませんでした。
144Hz画面は今後に期待
iQOO Z1のディスプレイは6.57インチと大きめで、144Hz リフレッシュレートに対応しています。
ディスプレイは平面のため端の操作がしやすく、保護フィルムも貼りやすいです。
ミヤビックスさんに反射防止保護フィルム、OverLay Plusを作成していただきました。
パンチホール型ノッチの部分も綺麗にくりぬかれています。顔の輪郭も分からないぐらいに反射を防いでくれますし、指滑りも抜群なのでおすすめです。
3万円台ながらもベゼルは最小限です。
視野角や発色も特に問題ありません。
リフレッシュレートは画面の表示内容に応じて自動変更する「スマートスイッチ」と、60Hz・90Hz・144Hzの3つから選べます。
adb shell settings put global vivo_screen_refresh_rate_mode 144
などとコマンドを実行すればこの切り替えができるのですが、120Hzにすることはできませんでした。
144Hz固定だとバッテリーの減りが早い気がしますが、それでも一日中使えるぐらいの電池持ちです。
ホーム画面やブラウザなどでは144Hzで表示できるのですが、残念ながら高リフレッシュレートに対応したゲームはまだ少なく、ゲーム側で制限されていることが多いです。
例えばWorld of Tanksでは60FPSまでしか設定で選択できず、144Hzモードにしていても最大60FPSにしかなりません。
同じ144Hzリフレッシュレート対応でもSnapdragon 865搭載のRedMagic 5Gだと120FPSの選択肢を選べますし、MediaTek差別がされているのだと思います。
adb shell settings get system peak_refresh_rate
で現在の最大FPSを確認できますが、PUBG・Minecraftなどでも60FPSに制限されていました。
また、デレステではSnapdragon SoC搭載機種よりもジャギーが目立ちやすくなっています。デレステの場合は構造上の問題もありますが、ゲームがMediaTekに最適化されていないことで色々と不都合が出るため、今後の最適化に期待です。
MediaTek Dimensity 1000+搭載端末は今後日本でも増えるようですし、これを機に「MediaTek = ゲームには不向き」という認識を改めてもらいたいところです。
なお、3Dリッチでもラグや突っかかりなどなく、スムーズなプレイができました。
Android 10だとFPS計測アプリが軒並み使えないので計測できないのですが、おそらく60FPS付近で維持できていると思います。
ゲームモードの機能も充実
144Hzはゲーム側の対応待ちになってしまいますが、そのほかのゲームを快適にするための機能も用意されています。
例えば「フレームレートの優先」では、解像度を下げることでフレームレートを安定させ、よりゲームをスムーズに表示できるようにしてくれます。
「イーグルアイビュー拡張」では、画面の彩度やシャープネスを調整することで、よりゲームに集中しやすくしてくれます。
音声のサラウンドモードも「近視野モード」「ワイドモード」を変更できます。
年齢に合わせてサウンドエフェクトを変更する機能まで用意されています。
控えめな青色が美しい
ゲーム性能を高めたスマホは得てして独創的な (悪く言えばダサい) デザインになっていることが多いですが、iQOO Z1は黒をベースとして光の反射で濃い青色が見えるというシンプルで美しいデザインになっています。
iQOOロゴ以外の主張が少ないですし、周囲にゲーミングスマホだと思われることなく使うには良いデザインだと思います。
背面はガラスですが、側面部分は樹脂製のようです。
電源ボタンは指紋認証センサーを兼ねているタイプで、指を置くとすぐ認証してくれます。OnePlusスマートフォンなどハイエンド機種での搭載実績もあるGoodix製なので、さすがの認証速度です。
設定にて「指を置いた時に認証する」か「押した時に認証する」か選べます。
電源ボタン以外では、ダブルタップや手をかざすことで画面オンすることもできます。
SIMトレイは防水性を高めるためかゴムパッキンが付けられています。
5GのDual SIM Dual Standby対応で、対応バンドは
2G CDMA:800MHz/1900MHz
3G WCDMA:B1/B2/B4/B5/B8
3G CDMA2000:800MHz/1900MHz
4G TDD-LTE:B34/B38/B39/B40/B41(2515-2675MHz)
4G FDD-LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B8/B18/B19/B25/B26
4G+:B1/B3/B38/B39/B40/B41
5G:n1/n3/n41(2515-2675MHz)/n77(3300-3600MHz)/n78(3300-3600MHz) /n79(4800-5000MHz)
と恐ろしく幅広いです。これほどのバンドに対応しているのに3.5万円というのは素晴らしいですね。
今のところ5GでのDSDSに対応した機種は少ないですし、このあたりもMediaTekのメリットが出ています。対応バンド的には海外向けですが…。
下部には3.5mmイヤホンジャックがあるため、変換アダプターなしで有線イヤホンを使えます。
USB Type-CポートはUSB 2.0のようで、映像出力には対応していませんでした。
スピーカーは前面上部の通話用スピーカーと合わせてステレオ再生できるようになっています。
カメラは48MP (Samsung S5KGM1) + 8MP (112°超広角、OV8856) + 2MP (マクロ、GC2375H) のトリプルカメラです。
出っ張りが小さいため、机の上に置いたまま操作してもあまりガタガタしません。
AIシーン判別がオンだと過剰に加工される傾向にありますが、そこそこ綺麗に撮影できます。
撮影した写真はこちらに保存しています。
スーパーマクロ撮影では最高4cmまで寄れます。マクロレンズ自体が2MPなのもあってあまり綺麗には撮影できませんが、十分でしょう。
カスタマイズされすぎたOS
続いてはソフトウェア面です。
iQOO Z1はAndroid 10搭載なのですが、vivoにより大幅にカスタマイズされた「iQOO UI」となっています。
日本語は選択できる上独自実装部分も日本語化されているので不便はないのですが、デフォルトではいわゆる中華フォントで表示されてしまいます。
設定 → ディスプレイと明るさ → フォントスタイル → 経典字体を選ぶことで、日本語フォントに変更できます。
色々と設定が散らかっていて探すのが大変です…。
とにかくvivoアカウントを作らせたいようで、ホームアプリを変えるだけでもログインを要求してきます。
一応PCからvivoアカウント登録してログインすれば変更できますが、情報を渡したくなければadb shell pm uninstall -k --user 0 "com.bbk.launcher2"
でホームアプリを無効化してしまえばNova Launcherなど好きなホームアプリに変更できます。
ただし、それでも「vivoシステムランチャーに戻すことが推奨されます」などと注意が出ることがあります。
PCからのAPKインストールもログインが必要です。
MTPなどで内部ストレージにAPKを保存し、プリインストールされているファイルアプリで開けば、ログインすることなくインストールできます。
なお、GIZTOPで販売されている中国版ではGoogleサービスはシステムにプリインストールされているものの、Playストアは後から手動インストールされているため、初期化後はAPKMirrorなどからAPKをダウンロードしてインストールしないといけません。
デフォルトではLockscreen Posterというモードが有効化されており、画面オンするたびに色々な壁紙に切り替わります。
記念日に合わせた画像 (父の日など) だったり風景写真だったりするのですが、たまにアークナイツなど中国系ゲームキャラのイラストも出てきます。
独自実装の中で役に立つのはパフォーマンス関連ぐらいです。
Multi Turboという機能では、CPUやGPUを最適化し、放熱性を高めてくれます。オンオフ可能になっているため、合わなければ簡単に無効化できます。
節電モードも4種類から選べるようになっており、CPU周波数を高めるモンスターモードも使えます。
よくベンチマークアプリだけ高パフォーマンスモードにするスマホがありますが、iQOO Z1なら自分で選べるのでベンチマーク以外でも役立ちます。
ちなみにWidevineはL3でした。Amazon プライムビデオなどストリーミングでHD再生できないというだけで、YouTubeやダウンロードした動画には影響はないので、ストリーミングがメインという人以外ならそれほど困ることはないと思います。
S855+並の性能
AnTuTu v8でのベンチマーク結果は495751でした。
Snapdragon 855+を搭載したOnePlus 7Tがスコア493140なので、Snapdragon 855+と同等以上の性能を持っていることが分かります。温度上昇もほとんどありませんし、放熱性も素晴らしいです。
個別に見てもCPUスコア154440、GPUスコア187991と、かつてのMediaTek SoCとは桁違いの性能です。
PC向けCPUで長らくIntel独占状態だったのがAMD Ryzenの登場で競争が激しくなったのと同じように、MediaTekにはスマホ界のRyzenとなってもらいQualcommと切磋琢磨してもらいたいものです。
Bootloader Unlockはfastboot flashing unlockを実行し、音量キー下を押せばできます。画面の指示だと音量キー下を押すと「No」になるはずなのですが…。
vivoではこちらのページでリカバリROMが配布されているため、iQOO Z1が追加されればroot化も簡単そうです。
約3.5万円と低価格ながらも一世代前のハイエンドSnapdragonに勝るとも劣らない性能を持ち、5Gや4Gも幅広いバンドで対応している上44W急速充電で素早く再充電できるという普段使いの利便性も高められています。
OSがカスタマイズされすぎているのがデメリットですが、うまく付き合えればかなりコスパの良いスマホになります。
5G DSDSを格安で実現したい方や、パワーアップしたMediaTekを見てみたい方にiQOO Z1はおすすめです。