評価: 4.5
OPPO Find X6 Proを購入しました。
全てがメインカメラ級
OPPO Find X6 ProはSnapdragon 8 Gen 2を搭載したスマートフォンです。
1インチセンサーの50MP SONY IMX989のほか、どちらも50MP SONY IMX890のペリスコープ望遠・超広角カメラまで搭載しています。
vivo X90 Pro+などで採用されているOmniVision OV64Bなどとは異なり、ペリスコープ望遠レンズは最短撮影距離が短くかなり寄って撮影できる上、オートフォーカスも合いやすいため物撮りにぴったりです。
このレビューは、12GB+256GB版・PGEM10_13.1.0.115(CN01)で行っています。
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
- 全てメインカメラ級の大センサー
- 100W充電対応5,000mAhバッテリー
- 50Wワイヤレス充電にも対応
- 映像出力もできるUSB 3.2 Gen 1ポート
- 日本キャリアのVoLTEに対応
- スペックを考えると妥当だが重い
- カメラ機能が貧弱
- オートモードで撮れる月はおそらく偽物
- 画面輝度2600nitsは出ない
- スピーカー音量が小さく弱い
- 付属品が安っぽい
OPPO Find X6 Pro (PGEM10 OP528BL1) | |
---|---|
OS | Android 13 |
RAM | 12GB / 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256GB / 512GB UFS 4.0 |
SoC | Snapdragon 8 Gen 2 |
ディスプレイ | 6.82インチ QHD+ 3168 × 1440 アスペクト比 19.8:9 120Hzリフレッシュレート AMOLED |
サイズ | 164.8 x 76.2 x 9.1mm |
重さ | 218g (実測221.1g) |
SIM | nano SIM + nano SIM |
リアカメラ | 50MP (OIS・Sony IMX989) + 50MP (OIS・ペリスコープ望遠 Sony IMX890) + 50MP (超広角 Sony IMX890) |
フロントカメラ | 32MP (Sony IMX709) |
バッテリー | 5,000mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 3.2 Gen1) |
バンド | 5G SA:n1 / n3 / n41 / n77 / n78 / n79 / n5 / n8 / n28 / n7 / n20 / n38 / n40 / n66 5G NSA:n41 / n77 / n78 / n79 4G FDD-LTE:1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8 / 12 / 17 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28 / 66 4G TD-LTE:34 / 38 / 39 / 40 / 41 3G WCDMA:1 / 2 / 4 / 5 / 8 2G GSM:850 / 900 / 1800 / 1900MHz 2G CDMA:BC0 |
目次
説明書、保護ケースや充電ケーブル、充電器などが付属しています。
保護フィルムは最初から貼られていますが、ミヤビックスさんにアンチグレア保護フィルムなどを作成していただきました。
エッジディスプレイのカーブが小さいため、vivo X90 Pro+に比べれば若干カバーできるエリアが広めです。
充電器は1ポートで、100V地域では残念ながら80W充電しかできません。
デュアルポートの100W充電器 (JD、AliExpress)であれば100W充電が可能です。
付属のケーブルは短めです。
保護ケースは側面保護はほぼできないタイプです。
レザー風のデザインではありますがプラ感が強く、vivo X90 Pro+の付属ケースの質感と比べると高級感に欠けます。
OPPO Find X5 Proの初期価格より低価格に抑えたことは嬉しいものの、ハイエンドモデルなのに付属品のグレードを落とすことで値下げを実現したというのは少し残念です。高級感あるケースを別売しているわけでもないですし…。
スマホ最高峰の明るいディスプレイだがHDRでは発揮できず
OPPO Find X6 Proは6.82インチQHD+ 3168 × 1440解像度のAMOLEDディスプレイを搭載しています。
なんとピーク輝度2,500nits、HBMで1,500nitsという現段階のスマホ向けディスプレイとしては最高峰の明るさを誇っています。
ただ、実際に明るさ自動調整オンでのHDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大789nitsにしかなりませんでした。
せっかくの明るいディスプレイを搭載しているというのに、HDR動画では普通のハイエンドモデルと同程度にしかならないのは残念です。
ブライトHDRビデオモードを設定でオンにしても挙動は変化しませんでした。
どうやら明るさセンサーのしきい値が高いようで、全白画像表示時に屋外でしばらく待つと1140nitsに達することはありました。
少なくとも3万ルクス程度の光源では高輝度モードにならないようで、少しでも日陰に近づくと輝度が下がります。
HDR動画でも屋外であれば1000nitsを超えますが、屋外でHDR動画を見るというシチュエーションはまずあり得ないため意味がありません。
LTPO・120Hzリフレッシュレート対応です。
兄弟ブランドの下位モデルにあたるOnePlus 11で対応していたフレーム補間は、OPPO Find X6 Proでは利用できません。
美しいディスプレイでこそスムーズな動画は映えると思うのですが…。
ダイヤモンドピクセル配列です。
WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は合計30.4msでした。
意外とタッチ遅延が小さく、ゲーミングスマホであるREDMAGIC 8 Proを超えています。
Widevine L1で、Amazonプライムビデオ (ベータ版) などでHD画質でのストリーミング再生ができます。
OPPO Find X6 Proは画面内指紋認証センサーを搭載しており、精度は良いです。
さらさらとした背面
OPPO Find X6 Proはブラック・グリーンではガラスの背面で、橙色のツートンではレザーとなっています。
ガラス背面はさらさらとしており指紋が付きにくい一方、グリップ力がレザーよりかは低いため滑りやすいです。
擦れてしまうと白い跡が残り、こすらないと落ちないので、汚れが気になる方はレザー版を買ったほうが良さそうです。
重さは221.1gで重たいです。
とはいえ、スマホ最高峰の組み合わせの大きなカメラセンサーや100W充電対応5,000mAhバッテリーを搭載した上でvivo X90 Pro+と同じぐらいの重さ、というのは素晴らしいです。
チューニング不足だが物撮りには良いカメラ
OPPO Find X6 Proはどのカメラもメインカメラ級で、
- 50MP 1インチ SONY IMX989 カメラ
- 50MP 1/1.56インチ IMX890、110° 超広角カメラ
- 50MP 1/1.56インチ IMX890、3倍 ペリスコープ望遠カメラ
を搭載しています。
1インチセンサーのメインカメラとペリスコープ望遠カメラはOIS 光学式手ぶれ補正に対応しています。
ペリスコープ望遠レンズのところはギザギザとした形状になっています。
すべて手持ち・オートで撮影した写真はこちらに保存しています。比較用のvivo X90 Pro+の写真はこちらに保存しています。
ボケの形状が楕円形に近く、特に日差しがあるシーンでの撮影時には妙なボケ方をすることがあります。
【追記】バージョンアップ前は花びらが白飛びすることがあったのですが、PGEM10_13.1.0.122になってからは同じようなシチュエーションでも白飛びしなくなりました。
PGEM10_13.1.0.122で撮影した写真はこちらに保存しています。
カメラアプリでは0.6x・1x・3x・6xのボタンが用意されており、2.7xでペリスコープ望遠レンズに切り替わります。
通常の写真モードだと120xのデジタルズームが可能なものの、プロモードでは何故か10xまでに制限されてしまいます。
そのため、プロモードで調整しても月面は撮影しにくいです。
オートで120xズームすると右の写真のように綺麗すぎる写真を撮影できるものの、モニターに映したガウスぼかし済みの月の写真に対しても補正が効いてしまうため、おそらくオートモードで撮れる月は偽物です。
中国でのムーンモード騒ぎを意識して「月はもちろん月光下の人も綺麗に撮影できる」などと大口を叩いていた割に、加工なしでは月の撮影すら満足にできないとは…。
プロモードでのズーム制限のほか、vivo X90 Pro+にある強化被写体深度 (EDoF) や建物の遠近感を補正するモードなど役に立つ撮影モードもなく、色々なスタイルで撮影したい方には機能不足が目立つと思います。
他社だと偽物の月を撮れるムーンモードが別途用意されていることが多いものの、OPPO Find X6 Proでは用意されていません。
撮影した写真をギャラリーアプリで開くとProXDRという機能が使えますが、単に輝度を上げて白飛びさせたような表示なのであまり役に立ちません。
マクロモードはデフォルトでオンになっており、オフのときよりボケが少なくなります。
夜景ではHDRがvivoに比べると弱めで、強い光源があると白飛びしてしまうことがあります。
とにかく明るく撮影しようとするvivoとは異なり、OPPO Find X6 Proは少し暗めになり、シャープネスも強めです。
3xズームではvivo X90 Pro+と比べると黒い格子状の部分の細部が分かりにくいものの、看板ロゴの文字はくっきりと映っています。
6xズームでは、「メディア梅田」の部分はOPPO Find X6 Proのほうがノイズが少なめです。
Y! mobileのロゴの部分ではvivo X90 Pro+のほうがノイズが少なく、ロゴの上下の線が残っています。
柱部分の傷などのディテールはOPPO Find X6 Proのほうが若干良いように思います。
OPPO Find X6 Proのペリスコープ望遠レンズは最短撮影距離が短くオートフォーカスも強いため、25cmほど離れた位置からズームで寄って撮影するテレマクロ的な用途に向いています。
望遠レンズのほうでフォーカスが合わなかった場合は自動で1インチメインカメラで撮影した写真に置き換わるようですが、ペリスコープ望遠レンズからデジタルズームに変わったことはほぼありませんでした。
vivo X90 Pro+では同じように撮影しようとしてもフォーカスが合いにくく、ぼやけた写真にしかなりません。
個人的にはカメラの利用シーンの8割が物撮りなので、この一点でOPPO Find X6 Proのほうが気に入りました。
オールラウンダーなvivo X90 Pro+に対してOPPO Find X6 Proはセンサーサイズでごり押ししている印象で、今後のアップデートでチューニングされれば真価を発揮してくれそうです。
動画では0.6x・1x・3x・6xすべてで4K@60fpsでの動画撮影が可能です。
手ぶれ補正をオンにすると、坂道で早歩きして揺れている状態でも手ぶれの少ない動画を撮れました。
動画撮影中には撮影開始時に1xだと6xまで、6xだと18xまでズームできますが、あくまでもデジタルズームであって、ペリスコープ望遠へのレンズ切り替えはされないようです。
遠くを綺麗に撮影したい場合は2.7x以上で撮影を始めたほうが良いです。
VoLTEに対応
OPPO Find X6 Proの対応バンドは下記の通りです。
- 5G SA:n1 / n3 / n41 / n77 / n78 / n79 / n5 / n8 / n28 / n7 / n20 / n38 / n40 / n66
- 5G NSA:n41 / n77 / n78 / n79
- 4G FDD-LTE:1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8 / 12 / 17 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28 / 66
- 4G TD-LTE:34 / 38 / 39 / 40 / 41
- 3G WCDMA:1 / 2 / 4 / 5 / 8
- 2G GSM:850 / 900 / 1800 / 1900MHz
- 2G CDMA:BC0
Y! mobileやSoftBank、LINEMOといったSoftBank系の回線はもちろん楽天モバイルでもauパートナーエリア含め利用可能で、ahamo、IIJmioやOCN モバイル ONEなどのdocomo回線でも概ね問題ないでしょう。
日本キャリアでのVoLTEにも対応しています。
通話内容は録音することもできます。
サウンドシールされた通話という、周囲に通話内容が聞こえにくいようにする機能も用意されています。
DP Alt Mode対応のUSB 3.2 Gen 1ポート
OPPO Find X6 ProのUSB Type-CポートはUSB 3.2 Gen 1対応。
写真や動画データを高速に転送できます。
DisplayPort Alt Modeでの映像出力も可能です。
別売のデュアルポートの100W充電器 (JD、AliExpress)であれば100W充電が可能です。
50Wワイヤレス充電やリバースワイヤレス充電も利用できます。
1600サイクル後でもバッテリー寿命80%以上を維持するそうで、長く使えそうです。
ステレオスピーカー搭載だが左右対称ではない
OPPO Find X6 Proは上部にスピーカー口があるものの、音が漏れやすいようになっているだけで実態は通話用と兼用タイプのステレオスピーカーです。
音圧が小さく、OnePlus Ace 2では3段階目で十分だったところOPPO Find X6 Proだと5段階目ぐらいにしないと聞こえにくい状態でした。
高音は少し弱めで低音はそこそこ強いものの、音量を上げると背面が振動してしまいます。
正直なところOnePlus Ace 2のほうが若干クリアに聞こえるほどで、ハイエンドモデルとしては微妙です。
WALT Latency Timerでオーディオ出力遅延を計測すると34.6msでした。
BluetoothコーデックはaptX AdaptiveやLDACのほかLHDCにも一応対応しているものの、LHDCはOPPO製イヤホン以外では使えないように制限されています。
そのため、OPPO製以外のLHDC対応イヤホンを使う場合はLDACやaptX Adaptiveにも対応しているものでないと、AACやSBCなどで繋がってしまいます。
公式のスペック表ではLHDC対応としておきながら自社製品でしか使わせないようにする制限は意味不明で、顧客に不誠実です。
Dolby Atmos (DAX3_3.8.5.20_r1) 対応で、スピーカー時はオフにできません。
音量ボタンは左側面にあります。
右側面にある電源ボタンには緑色のアクセントが入っています。
原神を平均59FPSでプレイできる高い性能
OPPO Find X6 ProはSnapdragon 8 Gen 2を搭載しています。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1535・マルチコア5223、通常版でシングルコア1542・マルチコア5211でした。
ベンチマークブーストは行っていないようです。
Geekbench MLにてTensorFlow Lite・NNAPIで計測したAI性能は、スコア579でした。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア3707→1683で、温度上昇は23℃→44℃ (21℃上昇)でバッテリー消費は14%でした。
他のSnapdragon 8 Gen 2搭載スマホと比べると安定度が低めで、バッテリー消費も少し大きいです。
8 Gen 1などと比べればかなりマシとはいえ、他の8 Gen 2スマホと比べるとバッテリー持ちが少し悪く感じるかもしれません。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア11478でした。
メモリはLPDDR5X、ストレージはUFS 4.0で、特にシーケンシャルライトとランダムリードがかなり高速です。
フレームレート安定化機能Ultra-steady framesオンの状態で原神を最高画質・60FPS設定・スメールでプレイしてWeTest PerfDogで計測すると、平均59.2FPSで1FPSあたり104.89mWの消費電力でした。
3DMarkでの結果と同じく、他の8 Gen 2スマホに比べると少しバッテリー消費が大きめです。
バッテリー温度は42℃まで上昇しており、フレーム部分が少し熱くなっていました。
日本語対応のColorOS
OPPO Find X6 Proが搭載しているAndroid 13ベースのColorOS 13.1は日本語対応です。
Playストアについては、APKMirrorなどでPlayストアのAPKをダウンロードしてインストールすれば使えます。Playプロテクト認定済みのため銀行アプリ等も使えます。
中国版のためロケーション履歴やニアバイシェアなどは使えず自動起動も5つまでに制限されており、root化することもできないので回避不可です。
プリインストールアプリのうちホーム画面に出てくるものはほとんどをアンインストール可能で、全部アンインストールすると残りは電話や連絡先、ブラウザぐらいだけになります。
Android 13の場合adb shellでservice call package 131 s16 com.heytap.market i32 0 i32 0
を実行することでApp Marketもアンインストールでき、アプリリンクをPlayストアで開けるようになります。
ジェスチャー操作は豊富で、ダブルタップで画面オンオフはもちろん、音楽操作や文字を書いてカメラやライト、指定アプリを起動するジェスチャーなどもあります。
ポケット時に近接センサーで誤操作防止する機能もあります。
フロントカメラで他人の顔を検知するとバナー通知の内容を表示しないようにする、のぞき見防止機能が追加されています。
OTAアップデートがなかなか降ってこないときは、归雁加速器などのVPNで中国 広東省のIPアドレスになるようにすればすぐに受け取れます。
アップデートが見つかった後はVPNを切断してもダウンロードを続けられます。
まとめ
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 2
- 全てメインカメラ級の大センサー
- 100W充電対応5,000mAhバッテリー
- 50Wワイヤレス充電にも対応
- 映像出力もできるUSB 3.2 Gen 1ポート
- 日本キャリアのVoLTEに対応
- スペックを考えると妥当だが重い
- カメラ機能が貧弱
- オートモードで撮れる月はおそらく偽物
- スピーカー音量が小さく弱い
- 付属品が安っぽい
OPPO Find X6 Proは現段階ではカメラのチューニングが微妙で、白飛びのない夜景撮影を求めている方にはおすすめできません。
せっかくOnePlusからHasselblad独占権を奪ったというのに、コラボが役に立っている感じは大してありません。
ただしテレマクロ的な物撮りにはかなり使い勝手が良く、使用シーンによってはOPPO Find X6 Proのほうが競合ハイエンドモデルより勝ることもあります。
センサー自体はどれも良いものなので、夜景・HDRなどは今後のアップデートでの改善に期待です。
【追記】PGEM10_13.1.0.122が配信開始され、HDRや望遠での処理が改善されました。撮影した写真はこちらに保存しています。
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