評価: 4
OPPO Find Nを購入しました。
目次
OPPOが満を持して投入したフォルダブル
OPPO Find NはSnapdragon 888を搭載したフォルダブルスマートフォンです。
これまでローラブルなど試作機の開発を進めてきたOPPOが満を持して投入しただけあり、他社フォルダブル端末と違って折り目がほとんど目立ちません。
14:15という類を見ない正方形に近いアスペクト比なため、用途によっては没入感が増したり、逆に余白が気になったりすることがあり、オールマイティではないものの刺さる人には刺さるタイプです。
個人的には外側のサブディスプレイを使う場面がなく、折りたたみスマホというよりも折りたたみタブレットという呼び方のほうが適切ではないかと思いました。
このレビューはPEUM00_11_A.09バージョン、12GB+512GB版で行っています。
- 比較的安価なフォルダブル端末
- フォルダブルの中でも小柄
- 7.1インチ、E5 AMOLEDのメイン画面
- メイン画面は120Hzリフレッシュレート対応
- 折り目が目立たない
- 明るく撮影できる夜景モード
- 日本キャリアのVoLTE対応
- スピーカーのステレオ感がない
- 内側に埃が溜まりやすい
- バックグラウンドアプリ制限が強い
- 折りたたみ時はスマホ2台分の厚み
OPPO Find N PEUM00 | |
---|---|
OS | Android 11 |
RAM | 8GB/12GB LPDDR5 |
ストレージ | 256GB/512GB UFS 3.1 |
プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 888 |
ディスプレイ | 内側メイン 7.1インチ WUSXGA (1792 × 1920) 120Hz AMOLED 外側セカンダリ 5.49インチ HD+ (1972 × 988) 60Hz AMOLED |
サイズ | 132.6 x 73.0 x 15.9mm |
重さ | 275g (実測278.5g) |
SIM | nano SIM + nano SIM |
メインカメラ | 50MP (SONY IMX766) + 16MP (超広角) + 13MP (望遠) |
フロントカメラ | 32MP |
バッテリー | 4500mAh (2415mAh+2085mAh) |
USB端子 | USB Type-C (USB 2.0) |
バンド | 2G: GSM 850/900/1800/1900MHz 2G: CDMA BC0 (800MHz) 3G: CDMA2000 BC0 (800MHz) 3G: UMTS (WCDMA) bands 1/2/4/5/6/8/19 4G: TD-LTE bands 34/38/39/40/41 (194MHz: 2496-2690) 4G: LTE FDD bands 1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28A/66 5G NR: n1/n3/n5/n7/n8/n20/n28A/n38/n41/n66/n77/n78 |
箱を開けると台座が浮き上がってくるという豪華仕様です。
付属品は33W USB Type-A充電器、USB Type-A to Cケーブル、説明書、保証書、SIMピンです。
残念ながらOPPOグローバル保証の対象外のため、故障した際は中国OPPOと交渉する必要があります。
折り目が目立たないメインディスプレイ
OPPO Find Nの内側メインディスプレイは7.1インチ WUSXGA (1792 × 1920)解像度で、120Hzリフレッシュレート対応です。
タッチサンプリングレートは最大180Hzで、Touch Sampling Rate Checkerの結果では125Hzでした。
光を反射させないと分からないぐらい中央の折り目が目立たず、普通のディスプレイと同じような見た目です。
TUVの試験では200,000回の折りたたみに耐えられたそうです。
折りたたみはかなりスムーズで、画面オン時は角度に応じて壁紙が動きます。
片手ではさすがにできず、両手で持って折らないといけません。
90°のあたりでは止められるものの、もう少し角度を付けると戻ってしまいます。
最初から保護フィルムが貼られていますが、ツメなど尖ったものを当てると傷が付いてしまいやすい柔らかいタイプです。
画面同士がぶつからないように段差が設けられており、保護フィルムも端までぴったり覆えているわけではないので、少し埃が溜まりやすい印象です。
ミヤビックスさんから保護フィルムが発売されていますが、FLEXなので貼り付けがかなり難しいです…。
OPPO Find Nは公式には防水対応ではないので、水貼りキットを使うわけにもいきませんし悩みどころです。
アスペクト比は設定でアプリ毎に調節可能
14:15という特殊なアスペクト比のため、全画面表示ではレイアウトが崩れるアプリがあります。
レイアウトが崩れそうなアプリは大抵自動的にアスペクト比16:9に変更してくれますが、アプリ履歴や設定から自分で全画面・16:9・4:3に固定することもできます。
16:9、4:3表示の時は左右・中央寄せにできます。
ブラウザなどでは全画面にするとPCでの表示に近いレイアウトにしてくれます。
原神のようなゲームでも全画面にするとちゃんとUIを合わせてくれますが、視界が狭いので少しプレイしにくいです。
また、そもそもの話としてAndroidはタブレットに最適化されたアプリが少ないため、勝手に画面の向きを固定されてしまう場合もあります。
例えばウマ娘の場合は全画面表示だとパンチホールが右上にくる向きでしかプレイできません。
また、エフェクトなどが端までかからないこともあるので、レイアウトが固定されているアプリだと16:9のままにするのが無難だと思います。
Kindleは設定変更で見開き表示可
Kindleなど電子書籍を楽しむ際には14:15のアスペクト比が役に立ちます。
マンガだと見開き表示ができ、紙媒体で見る時と同じぐらい (少し小さめ) のサイズ感になります。
余白が少しありパーフェクトではないものの、片手でも持てるサイズ・重量感で見開きを楽しめるのは良いです。
なお、Kindleアプリは「パンチホールがある端末では表示が被らないように調整する」という仕様があり、パンチホールがあるタブレットのことを想定していないせいで、何も設定していないとスマホ向けの単ページ表示になってしまいます。
設定の「アプリごとのフロントカメラ表示設定」で、Kindleではフロントカメラを非表示にさせることで見開き表示にできます。
他サイトではこれを知らずにOPPO Find Nの最適化不足だと低評価している人が多い (誰も気付いていない?) ですが、パンチホールの有無でレイアウトを大きく変えてしまうKindleの仕様がおかしいだけです。
プライムビデオのHD再生許可を無謀なホワイトリスト形式にしていることといい、Amazonのエンジニアは後先考えずに実装する傾向にあるのでしょうか…。
テキストでも問題なく見開き表示できます。
Samsung製なだけあって白がちゃんと黄ばんでいない白色で、美しいです。
動画再生時は余白が目立つ
Android 12Lでサイズやアスペクト比の異なるディスプレイへの対応を押し進めているGoogleですが、個別のアプリはまだまだ最適化が進んでいません。
特にYouTubeなど動画再生アプリでは元々アスペクト比16:9のコンテンツが多いため、OPPO Find Nのアスペクト比だと中途半端な表示になってしまいます。
アプリを分割して、ながら見しながら別のアプリを動かすというような使い方には良いと思います。
WidevineはL1です。
アプリの分割はジェスチャー操作で簡単にできます。
2本指で中央を下にスワイプすることで分割でき、分割後のサイズも調整できます。
分割後はもう片方はホーム画面に戻ります。
直前に開いていたアプリを自動で選んでくれたら便利な場面もあるのになぁと思います。
スマホ2つ分のディスプレイが並んでいるようなちょうど良いサイズなので、片側にスーパーのクーポンアプリを、もう片方にPayPayを出しておく、というような使い方ができ、一般人からも好評を得られそうです。
また、画面を分割して2つのアプリを使うのではなく、一つのアプリで2つのウインドウを開く「デュアルディスプレイ」もあります。
残念ながら中国系アプリしか対応していません。
一画面で表示できる情報量が増えるので、対応アプリであればなかなか使いやすそうです。
指紋が付きにくい背面 (片側は)
OPPO Find Nの背面のサブディスプレイでないほうは指紋が付きにくいよう加工されています。
さらさらとしていて汚くなりにくいです。
ただサブディスプレイは普通にガラスで、光沢保護フィルムが貼り付けられているため指紋が残りやすいです。
個人的にはサブディスプレイは要らなかったのでは、と思いますが…。
小柄なセカンダリディスプレイ
セカンダリディスプレイは5.49インチ HD+解像度で、60Hzリフレッシュレートのみ対応です。
OPPOはFHD解像度だと主張していますが、1972 × 988と幅が1080未満なので「フル」HDではありません。これがFHDなら1280×720もFHDになってしまいます。
今ではなかなか見かけなくなった小型スマホのようなサイズ感ではあるものの、折りたたみ時は厚みがスマホ2台分の15.9mmとなり、普通のスマホに慣れていると数字以上に分厚く感じます。
メインディスプレイ使用時に折りたたんだとき、そのままセカンダリディスプレイで表示を続けるか、画面をオフにするか設定で選べます。
折りたたんだ後上にスワイプすれば表示する、3秒経つとオフにするという選択肢もあります。
折りたたんだときは指紋認証センサーを内蔵した電源ボタンと音量キーが同じ位置に来るので、少し押し間違いしやすいです。
なお、ぴったりディスプレイを閉じるためにマグネットも使用されているため、磁気定期券などに近づけてはいけません。
折りたたんだときには隙間が全くなくなるので、後から埃が入ることはないでしょう。
7.1インチのタブレットをポケットに入る小ささにできる、というのはすごいです。
折りたたんだときの中央部にはDESIGNED FOR FINDとキャッチコピーが書かれています。
セカンダリディスプレイのピクセル配列は周冬雨排列と呼ばれるもので、おそらくBOE製です。
対してメインディスプレイはダイヤモンド配列で、Samsung製です。
E5材料のパネルが使用されており、ハイエンドスマホと同等レベルの鮮やかさ・明るさを7.1インチという大画面で得られるのは素晴らしいです。
OPPOフラッグシップと同じメインカメラ
OPPO Find NはOPPO Find X3 Proと同じSONY IMX766をメインカメラとしています。
デザインもOPPO Find X3 Proと似ていてカメラ周りが緩やかなカーブになっています。
OPPO Find X3シリーズでは背面素材とカメラ周りに境目がないのですが、OPPO Find Nだとカメラバンプが出っ張っています。
カメラ撮影中も折りたたみでき、90°になるようにすればOPPO Find N単体で三脚使用時のように固定して撮影できるようになります。
このときはセカンダリディスプレイが地面に接することになるので、傷つきやすいですし滑る危険性もあり、机の上などでないと勇気が要ります。
撮影した写真はこちらに保存しています。
逆光でもフレアはでにくく、綺麗に撮影できます。
真っ暗闇での夜景撮影でも、イルミネーションに照らされた枝が見えるほど明るく撮影できます。
ステレオスピーカーだが片側に寄っていてほぼ意味なし
OPPO Find Nはステレオスピーカー搭載です…が、USB Type-CポートやSIMトレイがある下部に両方とも設置されています。
そのためステレオ感が薄く、特に横向きになった時には左の方からしか音が出ないので、実質モノラルスピーカーになってしまいます。
バッテリーはフォルダブル端末ながらも4500mAhと普通のスマホ並で、33W急速充電対応です。
残念ながらUSB Type-CポートはUSB 2.0です。
ワイヤレス充電・リバースワイヤレス充電にも対応しています。
日本キャリアのVoLTE対応
OPPO Find Nはnano SIM2枚を挿入できます。
対応バンドは
- 2G: GSM 850/900/1800/1900MHz
- 2G: CDMA BC0 (800MHz)
- 3G: CDMA2000 BC0 (800MHz)
- 3G: UMTS (WCDMA) bands 1/2/4/5/6/8/19
- 4G: TD-LTE bands 34/38/39/40/41 (194MHz: 2496-2690)
- 4G: LTE FDD bands 1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28A/66
- 5G NR: n1/n3/n5/n7/n8/n20/n28A/n38/n41/n66/n77/n78
でY! mobileやSoftBank、LINEMOといったSoftBank系の回線はもちろん楽天モバイルでもauパートナーエリア含めて利用可能で、ahamo、IIJmioやOCN モバイル ONEなどのdocomo回線でも概ね問題ないでしょう。
日本キャリアのVoLTEにも対応しています。
原神を平均52FPSでプレイできる
OPPO Find Nのベンチマーク結果は、グラフィック性能はSnapdragon 888搭載端末の中では高めでした。
3DMark Wild Life Stress Testではスコア5870で、温度上昇は16℃→28℃ (12℃上昇)、14~43 FPSでした。
7.1インチと普通のスマホより大きいため、タブレットと同じように比較的放熱しやすいのでしょう。
PCMark Work 3.0ではスコア11302でした。
Geekbench 5ではシングルコア837、マルチコア3700です。
UFS3.1ストレージ、LPDDR5メモリでそこそこの速さです。
realme GT 2 Proと同じく「Ultra-steady frames」というフレームレートを安定化させるオプションがあるので、これを有効にした状態でプレイしてみました。
原神を最高画質・60FPS設定と最高負荷で動かしてWeTest PerfDogで計測すると、平均52.4FPSでした。
背面もあまり熱くならず、平均消費は758.2mA・2945.7mWと比較的低燃費です。
日本語対応のOS、ただしバッテリー制限が強い
OPPO Find Nは日本語対応で、Android 11ベースのColorOS 12を搭載しています。
グローバル版テーマストアをインストールしてしまえばMejiro日本語フォントにも変えられます。
バックグラウンドアプリの制限が強く、バッテリー最適化をオフにしてロックしてやらないと通知が来にくいですし、ロックできるアプリ数も限られています。
Playストアは入っていないもののAPKをインストールすれば使えますし、Playプロテクト認定済みでNetflixもインストールできます。
ジェスチャー操作はかなり豊富で、ダブルタップで画面オンはもちろん、上下左右へのスライドや文字を書くジェスチャーもあります。
Bootloader Unlockは今のところできない?
OPPO端末では深度测试・DeepTestというアプリをインストールして申請しないとBootloader Unlockができません。
OPPO Find N向けのアプリは公開されておらず、OPPO Find X3シリーズ向けのアプリを入れてもサーバーエラーで進めませんでした。
【深度测试】 OPPO手机深度测试官方公告(2021年11月26日更新)_帖子_OPPO手机官方社区
まとめ
- 比較的安価なフォルダブル端末
- フォルダブルの中でも小柄
- 7.1インチ、E5 AMOLEDのメイン画面
- メイン画面は120Hzリフレッシュレート対応
- 折り目が目立たない
- 明るく撮影できる夜景モード
- 日本キャリアのVoLTE対応
- スピーカーのステレオ感がない
- 内側に埃が溜まりやすい
- バックグラウンドアプリ制限が強い
- 折りたたみ時はスマホ2台分の厚み
OPPO Find Nは正方形に近いアスペクト比のおかげで、90°に折りたたんだり画面分割したりして使う時に16:9の画面を並ばせて使いやすいです。
動画再生では全画面表示を活かしにくいものの、電子書籍を見る際にはスマホではできない見開き表示での閲覧ができます。
それでいて折りたたみ時は最近のハイエンドスマホよりも小柄になりますし、大画面を持ち歩きたい方におすすめです。
かつて人類がマスクなしで活動できた頃にはタブレットを持ってポケモン GOをしていた人が散見されたように、見やすい大画面の端末を持ち歩きたいという需要は大きいのですし、このサイズのフォルダブル端末は一般人にこそ普及するべきものではないかと思います。
定価は8GB版が約14万円、12GB版が約16.3万円で、今回購入した12GB版は輸入消費税8,900円でした。
フォルダブル端末の中では安価ではあるものの、まだ普通のハイエンドスマホに比べるとお高めです。
フォルダブル端末を使うのはOPPO Find Nが初めてでしたが、今後量産化が進み安くなっていけばかなり人気が出そうだと感じました。