Nothing Phone (2a)レビュー。おサイフも搭載しゲーム以外の普段使いにぴったりな透明スマホ

Nothing Phone (2a)

 Nothing Phone (2a)を貸し出していただきました。(家族用に購入したミルクも同時に到着しました…)

Nothingらしさを出しつつコスト削減

Nothing Phone (2a)は背面に光るGlyphインターフェースを搭載しており、ついにFeliCa・おサイフケータイにも対応するようになりました。

それでいて定価は8GB+128GB版で49,800円という安さを実現しており、同じAOSPライクなOSのPixel 7aよりも若干安くなっています。

Pixelシリーズは致命的なバグやハード的な欠陥・品質不良が多いため、一般ユーザーにはNothing Phone (2a)のほうがおすすめです。

このレビューは12GB+256GB版・Nothing OS 2.5.4.aで行っています。

  • 普段使いに十分な性能
  • 120Hz対応フラットディスプレイ
  • クリーンなOS
  • FeliCa・おサイフケータイ対応
  • デフォルト通知音などは高音寄りが多く邪魔
  • シャッター音があまりにもうるさすぎる
  • 告知なしに日本版のみBLUを制限 (2.5.5aで解除)
Nothing Phone (2a)
OS Android 14
RAM 8 GB / 12 GB LPDDR4X
ストレージ 128 GB / 256 GB UFS 2.2
SoC MediaTek Dimensity 7200 Pro
ディスプレイ 6.7インチ
FHD+ 2412 x 1084
アスペクト比 20.03:9
120Hzリフレッシュレート
AMOLED
サイズ 161.74 × 76.32 × 8.55mm
重さ 190g (実測191g)
SIM nano SIM + nano SIM
リアカメラ 50MP (OIS / Samsung S5KGN9)
+ 50MP (超広角 Samsung S5KJN1)
フロントカメラ 32MP (SONY IMX615)
バッテリー 5,000mAh
USB端子 USB Type-C (USB 2.0)
バンド (国内) 5G(Sub6): n1, n3, n28,n41, n77, n78
4G LTE:1, 3, 8,18, 19, 26, 28,41,42
3G UMTS (WCDMA): 1,6,8,19
2G GSM : 850/900

Nothing製品はパッケージをお菓子の箱のように破って開けるスタイルで統一されています。

Nothing Phone (2a)だと他の製品より破る部分が少なくされていました。

箱

FeliCaロゴのシールが貼られています。

本体背面にはFeliCaロゴが入っておらずグローバル版と同じなので、FeliCaロゴでデザインの調和が壊されずに済んでいます。

FeliCa

説明書、充電ケーブル、SIMピンなどが付属しています。

「透明」というNothingのこだわりがここにも表れており、ミドルレンジモデルの付属品でありながらもおしゃれなデザインです。

保護フィルムは最初から貼り付けられています。

ケーブル充電器は付属していないため、USB PD・PPS 45W以上に対応した充電器を別途用意しないといけません。

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ディスプレイ:ベゼルが細くフラット

Nothing Phone (2a)は6.7インチ 2412 x 1084解像度のディスプレイを搭載しています。

ミドルレンジモデルでありつつもベゼルは細く、すっきりとした美しいデザインです。

フラットディスプレイなので端から端まで見やすいです。

画面内指紋認証搭載で、他社のミドルレンジモデルと同じく画面下部に配置されているタイプなので押しにくいです。

ディスプレイ

配列はダイヤモンドピクセルです。

配列

明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大851nitに達しました。

ミドルレンジモデルとしては十分です。

明るさ

nitとは?

明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。

屋内では400~500nit程度、屋外では800~1000nit程度でないと見にくいとされています。

ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。

30 – 120 Hzのアダプティブリフレッシュレートに対応しています。

設定で120Hz優先にできるほか、開発者向けオプションで「ピーク時のリフレッシュレートを適用」をオンにすれば常時120Hz固定もできます。

また、色温度についても設定で調整ができるようになっています。

リフレッシュレート

タッチサンプリングレートをTouch Sample Rate Testerで計測すると、シングルタッチ・マルチタッチともにMovement Rateは250Hz程度でした。

タッチサンプリングレート

WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は合計56.2msでした。

リズムゲームなどをよくプレイする方には微妙ではあるものの、そもそもSoC性能的にゲームに不向きなのでゲーム目的で(2a)は選ぶべきではなく、問題になることはないでしょう。

コストを抑えるため、見た目でわかりにくい部分のグレードを落としているのだと思います。

タッチ遅延

タッチ遅延とは?

画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。

この数値が小さいほど、素早く反応するということです。

ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。

テスト機能に「拡張されたタッチ応答」がありますが、オンにしてもWALTでは効果がありませんでした。

テスト機能

Widevine L1で、AmazonプライムビデオなどでHD画質でのストリーミング再生ができます。

DRM

背面:透明(風)なデザイン

背面は「2」を表したデザインになっており、透明なカバーで中が透けて見えます。白は指紋など汚れが目立たないものの、黒は少し埃が付いていると分かりやすいです。

中が見えるといってもほとんどが飾りで、実際の内部レイアウトとはほぼ関係がありません。

背面

重さは191gです。

重さ

カメラ:彩度が高め

背面の上部中央にはファミコンロボットを彷彿とさせるデュアルカメラが配置されています。

せっかくならフラットだったほうが良かったのですが、出っ張っているので机に置いたときに少しガタガタとします。

Nothing Phone (2a)

Nothing Phone (2a)で手持ち撮影した写真はこちらに保存しています。

全体的には十分綺麗に撮影できるものの、特に赤色は彩度が高くなりやすいため、実物に近い色合いで撮影したい方には向いていません。

日本のSIMを挿しているときはシャッター音が大音量で鳴り響くので屋外での撮影には不向きです。将来的なアップデートで音量が下げられるようですが…。

彩度

真っ暗な場所での夜景撮影では肉眼よりも明るく撮影でき、それなりにディテールが潰れず残っています。

カメラ目当てに買うスマホではないものの、ミドルレンジモデルとしては十分良いと思います。

夜景

スピーカー:低音が弱い

Nothing Phone (2a)はステレオスピーカー搭載です。

通話用と兼用のタイプで、左右非対称です。

ボーカルが聞こえやすいものの低音が弱く、あまり迫力がありません。

YouTubeアプリ側のバグかもしれませんが、動画を見ていると急に音が小さくなったり大きくなったりするように感じることがありました。

スピーカー

WALT Latency Timerでオーディオ出力遅延を計測すると32.8msでした。

WALT

BluetoothではLHDC / LDACのほかAAC / aptX / aptX HDに対応しています。

ただしLHDCはNothingブランド等の一部製品でしか使えないよう制限されているようで、サードパーティー製のLHDC対応イヤホンでは使えません。

コーデック

ポート:USB PD 45W充電に対応

Nothing Phone (2a)は45W急速充電対応です。

USB PD・PPS 45W以上に対応した充電器であれば急速充電できます。

メーカー独自規格ではないため、充電器・モバイルバッテリーを自由に選びやすいです。

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スピーカー

nano SIM 2枚を挿入できます。

SIMトレイの文字もドットで表現しているこだわりぶりです。

SIM

対応バンドは

  • 5G(Sub6): n1, n3, n28,n41, n77, n78
  • 4G LTE:1, 3, 8,18, 19, 26, 28,41,42
  • 3G UMTS (WCDMA): 1,6,8,19
  • 2G GSM : 850/900

Y! mobileSoftBankLINEMOといったSoftBank系の回線はもちろん楽天モバイルでもauパートナーエリア含め利用可能で、ahamoなどのdocomo回線でも概ね問題ないでしょう。

もちろんVoLTE通話も可能です。

VoLTE

電源ボタンは右側面にあります。

サイドはミルクではさらっとしており、ブラックでは少しざらっとした感触です。

電源ボタン

音量ボタンは左側面にあり、マイクが上部にあります。

音量ボタン

性能:普段使いには十分

Nothing Phone (2a)はMediaTek Dimensity 7200 Proを搭載しており、ゲームは画質を落とさないといけないものの、SNSや動画閲覧といった普段使いには十分な性能を持っています。

 

Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1131・マルチコア2580、通常版でシングルコア1142・マルチコア2607でした。

大きな差がないため、パッケージ名判定での性能制御は行っていないようです。

Geekbench

パッケージ名偽装の必要性

AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。

通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。

メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。

そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。

こちらの記事で詳しく解説しています。

Geekbenchのスコアとは?

背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。

普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。

2024年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。

ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。

パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア1160→1155でした。

スコアから分かるとおりSnapdragon 8 Gen 3の1/3~1/5の性能しかないため、ゲームには不向きです。

3DMark

3DMarkのスコアとは?

Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。

スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。

発熱とバッテリー消費とのバランスも重要で、安定度が高くて温度上昇とバッテリー消費が少ないものが理想です。

2024年現在は2000以上あれば、大抵のゲームをグラフィック設定を極端に落とすことなく快適にプレイできる傾向にあります。

あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかなく、実際のゲームの挙動は最適化や放熱性能、解像度など様々な要因で変動するため、「このスコアならだいたいこんな動きをするだろう」という推測の材料にする程度に収めてください。

ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア13806でした。

PCMark

PCMarkのスコアとは?

ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。

高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。

2024年現在は8000以上あれば十分です。

UFS 2.2ストレージ、LPDDR4Xメモリを搭載しています。

sk hynix H9QT1G6DN6X132が採用されており、書き込み性能はそこそこ良いものの読み込み性能は他のUFS 2.2搭載機種に比べ若干劣るようです。

CPDT

ストレージ性能とは?

シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。

ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。

原神を最高画質・60FPS設定・フォンテーヌ (水中→陸上) でプレイしてScene 7で計測すると、平均35.3FPSで1FPSあたり136mWの消費電力でした。

バッテリー温度は最大41℃程度まで上昇しました。

Snapdragon 8 Gen 1やGoogle Tensor G2並の電力効率の悪さで、発熱も大きいですしやはりゲームプレイは快適にはできません。ゲーム以外の普段使いには十分なのですがね…。

画質をかなり落として30FPSにすればプレイできるでしょうが、それをするぐらいならNothing Phone (2)など高めの性能のスマホを買うべきです。

原神

電力効率と平均FPSとは?

1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。

電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。

ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。

 

平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。

(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)

崩壊:スターレイルを最高画質・ピノコニー「黄金の刻」で15分プレイすると平均26.3FPSでした。

GPU性能が低く、30FPSを超えることすらできていません。

スターレイル

au PAY マーケット

OS:スタイリッシュ

Nothing OSでは初期設定のときにホーム画面をNothingウィジェットをふんだんに使ったレイアウトと、AOSPスタイルのレイアウトどちらにするか選べます。

後から自分でアイコンスタイルを変えることもでき、Nothingのアイコンパックだと白黒でおしゃれな見た目になります。

ただアダプティブアイコン非対応のアプリだと通常アイコンそのままになり、無料のNothing Icon PackをPlayストアからインストールして適用すればすべて白黒に統一できます。

追加のアイコンパックをPlayストアで探せるショートカットがあるものの、サードパーティー製の有料アイコンパックのほうが検索結果上位に来てしまっているため間違って買ってしまう人が出てきそうです。

アイコン

通知音などはデジタル感が強いサウンドになっており、警告音が鳴ったのかと思ってしまうような甲高い音なのですぐ自分で用意した別のものに変えてしまいました。

通知の音を聞くよりGlyphインターフェースを使って通知に邪魔されないようにしよう、というコンセプトなのだと思いますが、通知音も毎日聞きたくなるぐらいにもう少し優しい音色にしてもらいたいです。

通知音

AIで壁紙を生成する機能もあります。

プリセットの「空」「写真」などを組み合わせて作る方式で、自分でプロンプトを入れることはできません。

AI壁紙

画面オフ時のジェスチャー操作は「タップしてロック画面を表示」のみに対応しています。

近接センサーが覆われていると画面が点灯しないようになっているものの、鞄に入れるまでの間に手が触れて点灯してしまうことがあります。

ダブルタップで点灯するようにしてもらいたいところです。

ジェスチャー

Wi-Fiは公式サイトだと2.4 GHz / 5 GHzとしか記載がないものの、実際には6GHzにも対応しています。

Wi-Fi設定などのヘッダー部分にある英数字はドットで表現されているものの、日本語は普通のフォントです。

45W充電対応なので一晩中繋ぎっぱなしにする必要はないと思いますが、一晩中充電し続けるときにバッテリーへの負荷が低くなるよう調整してくれる「バッテリーの状態」機能もあります。(設定名と説明の翻訳が分かりにくい…)

バッテリー

日本版のみBootloader Unlock不可

Nothing PhoneシリーズはBootloader Unlockが可能で、カーネルソースコードも素早く公開するなど開発者に優しいところも選ぶメリットの一つでした。

ところがNothing Phone (2a)の日本版ではBootloader Unlockができないよう制限されており、制限があることは公式サイトのどこにも記載されていません。

グローバル版ではBLUできるので、FeliCa・おサイフケータイ搭載であることを理由に自主的に制限したのだと思いますが、Google Pixelやmotorola、Xiaomiなど他社のおサイフケータイ対応スマホはBLUできるため制限する必要性はないはずです。

Xに投稿しておいたのでCarl Pei氏がシャッター音の問題の解決を表明したときのように修正に応じてくれれば良いのですが、このままだとNothing Phone (3)など後続のシリーズでも日本版だけユーザーの自由度が狭まることになってしまいます。

【追記】2.5.5aでBootloader Unlockを許可するよう修正されたようです。

BLU

まとめ

  • 普段使いに十分な性能
  • 120Hz対応フラットディスプレイ
  • クリーンなOS
  • FeliCa・おサイフケータイ対応
  • デフォルト通知音などは高音寄りが多く邪魔
  • シャッター音があまりにもうるさすぎる
  • 告知なしに日本版のみBLUを制限 (2.5.5aで解除)

Nothing Phone (2a)は普段使いには十分な性能を持ち、念願のFeliCa・おサイフケータイ対応により決済周りも便利になりました。

バグだらけのPixelシリーズより安定していますし、大きめのディスプレイかつAOSPライクなOSのスマホが欲しい方にはNothing Phone (2a)のほうが良いと思います。

 

12+256GB版は55,800円、8+128GB版は49,800円で購入できます。メモリやストレージは後から増やせませんし、6,000円だけの差なので12+256GB版のほうが良さそうです。

Nothingで購入する

IIJmioでは2024/6/3までMNP乗り換えだと8+128GB版を一括24,800円で購入できます。

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