評価: 4
MEIZU 18を購入しました。
目次
小さめながらもハイエンドなスペック
MEIZU 18はハイエンドスマホとしては小さめな6.2インチディスプレイを搭載していますが、小さめでも性能は妥協されておらず解像度はQHD+、リフレッシュレートは120Hzに対応しています。
Snapdragon 888に高速なLPDDR5メモリやUFS 3.1ストレージを採用しておりパワフル…なのですが、負荷が高まってもクロックダウンなどがされないため、ゲーム時にはかなり熱くなってしまうというデメリットもあります。
このレビューはFlyme 9.2.5.0Aバージョンで行っています。
- 2K 120Hz SuperAMOLEDディスプレイ
- 6.2インチ画面で操作しやすさアップ
- 実測168gで軽め
- Snapdragon 888搭載
- LPDDR5 + UFS 3.1
- 日本キャリアでのVoLTE標準対応
- 日本SIMでもシャッター音なし
- 過熱制御なし
- システムは英語のみ (コマンドで日本語設定可)
- パターンロック非対応など変なところで癖がある
MEIZU 18 M181Q | |
---|---|
OS | Android 11 |
RAM | 8GB/12GB LPDDR5 |
ストレージ | 128GB/256GB UFS 3.1 |
プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 888 |
ディスプレイ | 6.2インチ QHD+ (3200×1440) 120Hz Super AMOLED |
サイズ | 152.4 x 69.2 x 8.18mm |
重さ | 162g (実測168.1g) |
SIM | nano SIM + nano SIM |
メインカメラ | 64MP (Sony IMX682) + 16MP (超広角/マクロ Samsung S5K3P9SX) + 8MP (望遠 OmniVision OV08A10) |
フロントカメラ | 20MP |
バッテリー | 4000mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB2.0) |
バンド | WCDMA: B1/B2/B5/B8 TD-LTE: B34/B38/B39/B40/B41 FDD-LTE: B1/B3/B4/B5/B7/B8 NR: N1/N3/N41/N77/N78/N79 (N1/N3はSAのみ) |
MEIZU 18の箱を開けるとスタンドに刺さったような状態になるという独特なデザインになっています。
付属品はUSB Type-A to Cケーブル、SIMピン、説明書、ステッカーです。
MEIZU 18周年記念のステッカーということで、ファン必携でしょう。
充電器は付属していませんが、USB PD/Quick Charge 3.0対応なので特殊な充電器を用意しなくても27W急速充電が可能です。
保護フィルムは貼られていません。
6.2インチのQHD+AMOLEDディスプレイ
小型スマートフォンは上位モデルとの差をつけるためにディスプレイ性能が落とされやすいものですが、MEIZU 18はQHD+解像度・120Hzリフレッシュレート対応で563PPIとなっています。
Xperia 5 IIIがライバルとなりますが、アスペクト比21:9で微妙に縦長すぎるXperiaと違ってMEIZU 18は20:9で、他社ハイエンドスマホと同程度です。
コントラスト比5000000:1のSamsung製E4材料のSuper AMOLEDを採用しており、ダイヤモンドペンタイル配列です。
OnePlus 9 Proなどと比べても遜色ない発色の良さです。
8.7インチディスプレイ搭載のOPPO Find X3と比べると一回り小さく、軽さもあいまって操作しやすいです。
パンチホールカメラは中央部にあります。
リフレッシュレートは60Hz・90Hz・120Hzを選択できます。
QHD+と120Hzを両立することもできます。
Widevine L1ですが、Amazonプライムビデオではホワイトリストに入っていないためHD画質でのストリーミング再生はできません。
高速な画面内指紋認証センサー
MEIZU 18はUltrasonic mTouch画面内指紋認証センサーを搭載しており、認証速度はかなり高速です。
ただ、何故かPIN・パスワードロック (数字もしくは英数字) としか組み合わせできず、パターンロックには非対応です。
Android標準機能なのにわざわざ削除する理由はないと思うのですが…。
顔認証には対応しています。
指紋が付きにくい背面
MEIZU 18の背面は指紋が付きにくいよう加工されており、綺麗な状態を維持できます。
カメラの出っ張りが小さく見えるようXiaomiと同じようなデザインにされています。
1.8mmほどの高さがあるため、机に置いたときはガタガタしてしまいます。
カメラは彩度が高めになることも
MEIZU 18はSony IMX682 64MPカメラに16MP超広角・マクロカメラ、8MP望遠カメラを搭載しています。
IMX682は2020年のミドルレンジスマホに採用されているものですが、それなりに綺麗に撮影できます。
AIやHDRをオフにした状態でも彩度が高めに調整されやすいようで、空を撮影してみると実際よりも青く映りました。
マゼンタと赤色の区別がつきやすいですが、やはり全体的に彩度が高いです。
ズームは3倍まで綺麗に撮影できます。
ズームは最大30倍、マクロも10倍までできますが、ノイズやブレが大きいため実用性は低めです。
マクロ撮影ではかろうじてディスプレイの配列が分かる程度です。
夜景モードは明かりがほとんどなく肉眼だと葉っぱが見えにくいぐらいの状態でも、まるでライティングされているかのような明るさで撮影できます。
カメラアプリは設定画面がかなり簡素で、画像のようなボタンしかありません。
位置情報を写真に付けたくない場合は、位置情報の権限を拒否するしかなく、設定からはオンオフできません。
グリッドや水平器があるのは良いですね。
シャッター音を鳴らすという概念がないのか、日本のSIMを挿してもシャッター音が鳴りませんでした。
日本キャリアのVoLTEに標準対応
MEIZUはイヤホンしか日本進出していません (パートナーを探していたようですが音沙汰無し) が、日本キャリア (docomo・au・SoftBank・楽天モバイル) のVoLTEには標準対応してくれています。
日本だけでなく世界各国の幅広いキャリアに対応しているため、おそらくは中国人が旅行したときに使いやすいようにしているのでしょう。
VoLTEがほぼ必須となっている状況に対応するためか、VoLTEはオフにはできないようになっています。
- WCDMA: B1/B2/B5/B8
- TD-LTE: B34/B38/B39/B40/B41
- FDD-LTE: B1/B3/B4/B5/B7/B8
- NR: N1/N3/N41/N77/N78/N79
という対応バンドのため、Y! mobileやSoftBank、LINEMOといったSoftBank系の回線はもちろん楽天モバイルの自社エリアでも使えます。
au回線やIIJmioやOCN モバイル ONEなどのdocomo回線には適していません。
スピーカーは下部のものと通話用スピーカーを利用してステレオ再生するタイプで、画面の回転に応じたチャンネル入替にも対応しています。
音質的には普通で、特段良くも悪くもないです。
USB PD 27W充電対応
MEIZU 18は独自の36W充電のほか、USB PD 27W充電やQuick Charge 3.0に対応しています。
独自規格でなくてもそれなりの速度で充電できるのは良いですね。
27W充電の場合、10%→100%を1時間04分で充電できました。
ボタン類はすべて右側面に
電源ボタンや音量ボタンはすべて右側面に配置されています。
背面のデザインといいXiaomiとほぼ同じで個性がないですが、あまり独自性を出されても使いにくいだけなのでこれで良いのかもしれません。
左側面はすっきりしています。
上部もマイク以外は特に何もありません。
重さは実測168.1gと今時のハイエンドスマホとしては軽いです。
Xiaomi Mi 11 Lite 5Gのようなミドルレンジではなく、妥協の少ないハイエンド性能で軽量なものは限られていますし、ただ軽いだけでなくコンパクトで性能が良いものを求めている人にはMEIZU 18はぴったりだと思います。
日本語フォントありのFlyme OS
MEIZU 18が搭載しているFlyme OS中国版は設定では日本語を選べません。
MoreLocale 2は不要で、USBデバッグを有効化した後adb shell settings put system system_locales ja-JP
を実行することで日本語設定にでき、設定などは英語のままではあるものの他は日本語フォントで表示してくれます。
ただ、日本語設定にすると純正電話アプリが使えなくなります。あいうえお順を想定していないのでエラーが起きて起動できないようです。
どのみちGoogleの電話アプリを使う方が迷惑電話対策などが付いていて使いやすいですし、純正電話アプリは不要でしょう。
Wi-Fi 6対応で、ASUS RT-AX82Uと接続したところリンク速度は2401Mbpsでした。
NURO環境ですがダウンロード676Mbps・アップロード797Mbpsと有線並の速度で、さすがハイエンドといったところです。
MEIZU 18のFlyme OSは広告・プッシュ通知・サードパーティー製プリインストールアプリを0にするという指針で開発されています。
XiaomiやOPPOスマホでありがちな広告は全く見かけませんし、本当にプリインストールアプリも最小限で、MEIZU製アプリ以外の京東やビリビリなどのアプリは入っていません。
権限周りもプレイバシー保護のために強化されているようで、クリップボードやインストール済みアプリの読み取りを拒否できるなど細かな権限管理が独自に追加されています。
中国製OSとしては珍しくホームアプリの変更に制限がなく、Nova Launcherをデフォルトのホームアプリにしてもジェスチャー操作やアプリ履歴の表示が普通にできました。注意が出たり時間が経って戻ったりすることもありません。
ジェスチャー操作はダブルタップでの画面点灯はもちろん、スワイプ操作やC字などに対応しています。
中国OS特有の強力なタスクキルはやはりFlyme OSにも入っており、バックグラウンドで動作させる権限を許可した上でアプリ履歴上でロックしないと終了されやすくなります。
とはいえゲームのダウンロードをさせたままバックグラウンドに移動させても終了されず完了できているなど、中国版ColorOSやMIUIに比べればマシな印象です。
最近の流行のメモリ拡張にも対応しています。
これまで裏側でやっていたことを前面に出してきただけではありますが、固定ではなく+2・4・6GBの間で選べるのは良いですね。
ゲームモードでは「Accelerator」というメモリクリーナー機能があります…が、なんとこれを押すと今プレイしているゲームを含めた全アプリを終了してしまいます。
ゲームの動作を優先させるために他のアプリを終了する、というのが普通の実装だと思いますが、MEIZUの開発者はゲームを遊んだことがないのでしょうか…。
開発者向けオプションには計測ツールがいくつか搭載されており、例えばPerformance monitorではFPSやGPUクロックなどをオーバーレイ表示できます。
PlayストアにあるFPS計測アプリでは2Dしか正確に計測できないので、システム側で用意してくれているのは良いですね。グラフ化してくれる機能もあればもっと良かったのですが…。
クイック設定はiOS風にしたかったのか、Android標準とは大きく異なっています。
TelephonyEngineerModeという隠しメニューもありました。
バンドを固定したりdiagモードにしたりできます。
なお、Bootloader Unlockはそのままではできないようです。
Settings.apk内のFlymeDevelopmentSettingsでHIDE_PREFERENCE_KEYSにoem_unlock_enableが含まれており、開発者向けオプションでOEMロック解除のオプションを非表示にするよう設定されています。
公式サービスでBootloader Lockedのままroot化できるようなので、Xposedモジュール等を作って非表示にさせないようにするか、frp (config) パーティションの0x7FFFFを01にするというQualcomm SoC搭載スマホ共通の手法が通りそうです。
Phh-TrebleにはMEIZU 18向けのパッチが取り込まれているので、GSIも使えるようです。
Snapdragon 888の本気を見られてしまう
MEIZU 18はグラフィックス性能や普段使いでの性能のベンチマークで圧倒的なスコアをたたき出しており、Snapdragon 888 Plusをも超えるほどです。
Androidスマホ ベンチマーク結果まとめ。CPU・メモリ・ストレージ性能一覧 – AndroPlus
3DMark Wild Lifeではスコア5941でした。
スコアだけ見るとうまくチューニングをしているのか、と思ってしまいますが、実は単に「発熱に応じたクロック制限を一切行っていない」だけです。
Wild Life Stress Test (20回連続実行) では計測できる範囲でなんと最大59℃まで上昇しており、バッテリーセーバーを有効にして抑えつけてやらないと計測が完了する前にオーバーヒートで電源が切られてしまいます。
40℃前後で熱い熱いと言っていたのが馬鹿らしくなるほどの発熱で、各社がSnapdragon 888搭載スマホでの過熱制御を強化しているのは正解なんだな…と思い知らされます。
PCMark Work 3.0ではスコア16701です。
MediaTek Dimensity 1200-AIやSnapdragon 888 Plusに大差を付けています。
GPUを連続して使わない限りはそこまで発熱が大きくなりにくいため、ちょっとした処理なら確かに素早くできるのだと思います。
Geekbench 5ではシングルコア900・マルチコア3037でした。
ストレージはUFS 3.1採用機種としてはそこそこの速さで、メモリはLenovo Yoga Tab 13やmotorola edge sといったハイエンド機種に並ぶ程度の速度です。
原神を最高画質・60FPS設定と最高負荷で動かすと、中央値 54FPSの滑らかな動作でした。(プロ向けベンチマークソフトGameBench Proにて計測しています)
フレームレートはかなり安定していますが、温度は4分過ぎたあたりでもう40℃を超え10分頃には50℃を突破しており、GameSir F8 Pro Snowgonのようなグリップを付けないと側面が熱くなりすぎて持てませんでした。
実際にプレイする際は30FPSに落とすか、冷却させながらでないと難しそうです。
100%充電時に約3時間22分プレイできるという結果になりましたが、果たして発熱にそこまで耐えられるかどうか…。
World of Tanks Blitzは画質高・120FPS設定ができました。
…が、実際に計測してみると60FPSしか出ていません。
どうやら互換性対策のために120Hz設定を無視する場合があるようで、開発者向けオプションの「Forced to open 120Hz screen refresh rate」をオンにしないと120Hzを使ってくれないことがあるようです。
オンにした状態で計測し直すと、中央値116FPSとかなりスムーズな動きになりました。
グラフに大きく落ち込んでいるところがあるのはメニュー画面で、30~60FPS以下に制限されているためです。
原神ほど重たくはないためか温度も最高で45℃程度と、持ってられないほどの温度にはなりませんでした。
まとめ
- 2K 120Hz SuperAMOLEDディスプレイ
- 6.2インチ画面で操作しやすさアップ
- 実測168gで軽め
- Snapdragon 888搭載
- LPDDR5 + UFS 3.1
- 日本キャリアでのVoLTE標準対応
- 日本SIMでもシャッター音なし
- 過熱制御なし
- システムは英語のみ (コマンドで日本語設定可)
- パターンロック非対応など変なところで癖がある
GPU処理が多いゲームをプレイすると発熱が抑えきれず長時間使えない、という問題はあるものの、ゲーム以外の普段使いの範囲ではそこまで熱くなることはなく、中国版ColorOSやMIUIなどよりも制限が緩くて広告も少ないので快適に使えます。
VoLTE対応やシャッター音がないなど使い勝手が良く、160g台・6.2インチディスプレイでQHD+と120Hzを両立できるスマホはなかなかないため、小型かつハイエンドなスペックを持つスマホを探している人にはぴったりだと思います。
MEIZUの知名度があまりないためか販売店が少なくGIZTOPでは$698 (約7.8万円) と割高ですが、京東では3999CNY (約7万円) でよくクーポンが配布されているので6万円台で購入できます。