規格違反の製品がまだまだ多いUSB Type-C製品ですが、あまり費用をかけずにUSB Type-C規格に適合しているか確認する方法をまとめてみました。
まず始めに、○○のブランドだから大丈夫!という考えは捨てましょう。例えば、かつてスマホアクセサリでは定番と言われていたAnkerも、規格不適合のケーブルや仕様外の出力をする充電器を販売しており (しかも設計ミスを認めながらも公にしようとせず、その後サイレント修正)、最近になってようやくまともなUSB PD 30W充電器を出すようになったぐらいです。
Ankerは訴訟大国であるアメリカではリコールしていますが、日本人相手なら不良品を送りつけても黙っておけば大丈夫だろう、と舐めているのでしょう。
人気のブランドでさえ規格不適合品を平気で販売するぐらいなので、もちろんマイナーな中国系メーカーからはもっとひどい製品が販売されています。
さらに、メーカー純正品でも無条件に信用できるわけではありません。Nexus 5X付属の充電器が規格不適合だったり、NuAns NEO付属ケーブルが未だに22kΩを使ったA to Cケーブルだったり、といった事例もあるので、特定のブランドやメーカーだからと言って一括りにして安心してはいけません。
USB Type-C (USB-C) 規格の詳細はUSB.orgからダウンロードすると確認できます。2017年8月27日現在、USB Type-C Specification Release 1.3が最新となっています。USB Type-C規格全体についてはここでは詳しく説明しないので、知りたい方は規格書を見るか検索してください。
一般ユーザーがUSB Type-C規格をすべて把握する必要はありませんが、最低限簡単に判定できるものを知っておけば、規格違反の製品で痛い目を見ることは少なくなるはずです。
長いので先にまとめておくと、
- USB Micro-B (メス) to USB 2.0 Type-C (オス)、またはUSB 3.1 Gen1 Type-A (メス) to USB 3.1 Gen1 Type-C (オス) 以外の組み合わせの変換アダプタは買わない
- USB Type-C (メス) を搭載した変換アダプタ・延長ケーブルは買わない
- USB Type-Cポートで独自の急速充電規格に対応 (Quick Charge 2.0/3.0など) しているものは避ける
- 56kΩ使用を明記していないUSB Type-A to USB Type-C ケーブルは避ける
- ハブでVbus Hotか確認し、Vbus Hotなら「不具合・破損がある」として返品する
- MacBookなど充電器の最大ワット数が分かる製品を持っていれば、仕様と違う値になっていないか確認する
といったことをすればほとんどの規格不適合品を判別できます。
目次
Lv.1 存在してはいけない製品
まずは商品説明を見た段階ですぐ判定できるものから紹介します。
変換アダプタの形状
これまで使ってきたMicro USBケーブルなどをUSB Type-C端子搭載スマホ・ノートパソコンでも使いたい時に使われることが多い変換アダプタですが、USB Type-C Specification Release 1.3, Section 3.1.4では
- USB 2.0 Micro-B (メス) to USB 2.0 Type-C (オス)
- USB 3.1 Gen1 Standard-A (メス) to USB Type-C (オス)
の2種類だけが定義されています。(以下Standard-AはType-Aと表記します)
また、USB Type-C Specification Release 1.3, Section 2.2ではUSB Type-C (メス)を搭載した変換アダプタは、ユーザーによって危険な状態と化してしまう可能性があるため一切許可されていません。
例えば、USB Type-C (メス) to USB Type-A (オス) という変換アダプタがあったとすると、USB Type-C (メス) にUSB Type-A to USB Type-C ケーブルを挿すことでUSB Type-A to Type-A という規格にない状態ができあがってしまいます。規格にない以上、どのような動きをするか分からず、最悪の場合機器の故障や発火を引き起こす可能性があります。
- USB Micro-B (メス) to USB 2.0 Type-C (オス)、またはUSB 3.1 Gen1 Type-A (メス) to USB 3.1 Gen1 Type-C (オス) 以外の組み合わせの変換アダプタ
- USB Type-C (メス) を搭載した変換アダプタ・延長ケーブル
はその存在自体が規格違反ということになります。また、長さは0.15mまでとなっています。
現在上記の規格違反の変換アダプタを販売しているメーカーには、有象無象の中華メーカーの他にAUKEY、サンワサプライ、アイネックスなどがあります。
ケーブルの長さ
ケーブルの長さも規格で決められており、USB Type-C to Type-CケーブルはUSB Type-C Specification Release 1.3, Section 3.1.2 Compliant Cable Assembliesで
- USB 2.0対応ケーブル…最大4m
- USB 3.0/3.1 Gen1対応ケーブル…最大2m
- USB 3.1 Gen2対応ケーブル…最大1m
と決められています。
片側がMicro-BなどのレガシーコネクタのType-CケーブルはUSB Type-C Specification Release 1.3, Section 3.1.3 Compliant USB Type- C to Legacy Cable Assembliesで7パターンが決められており、基本的に
- USB 2.0対応ケーブル…最大4m
- USB 2.0対応でMicro-Bコネクタのケーブル…最大2m
- USB 3.1 Gen2対応ケーブル…最大1m
となっています。
また、
USB 3.1 Type- C legacy cables assemblies that only offer performance up to USB 3.1 Gen1 are not allowed by this specification.
とも書かれており、USB Type-C to USB 3.0 (3.1 Gen1) Type-A オス ケーブルなどは許可されていません。許可されているのはUSB Type-C to Type-Cケーブルの場合のみです。
ちなみに、USB Type-A to Type-CケーブルでUSB Power Deliveryに対応していると書かれている製品が一部ありますが、実際にはUSB PD 3.0でUSB Type-C to Type-CケーブルでなければUSB Power Deliveryを利用できないことになっているため、対応製品はおそらくこの世に存在しません。
また、USB Type-C to Type-Cケーブルの中にはUSB Power Delivery非対応と書かれているものもありますが、原則USB Power Deliveryに非対応のUSB Type-C to Type-Cケーブルは存在しません。
勝手に非対応と言っているだけなので実際はUSB Power Deliveryで利用できることがほとんどだと思いますが、5V/3A以上に耐えられないような低性能ケーブルである可能性もあるので、USB Power Deliveryを使わない場合でも「USB Power Delivery非対応」などと書かれたUSB Type-C to Type-Cケーブルは避けた方が良さそうです。
Lv.2 Quick Chargeなどに対応している
USB Type-C Specification Release 1.3, Section 4.8.2で、USB Type-C製品はUSBが定義した方法以外での電圧の変更を禁止しています。
USB Power Deliveryはもちろん問題ありませんが、Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0などは定義されていないため、USB Type-CポートでQuick Charge 2.0/3.0に対応している場合、規格違反ということになります。
規格に従っていない上、Quick Charge 2.0/3.0の詳細な仕様は公開されていないため、eMarkerと呼ばれるICチップ搭載ケーブル (E-Markedケーブル) を使った時に、充電器の設計によってはICチップに予期せぬ電圧が掛かり、焼き切れてしまう可能性があります。
一部の充電器ではICチップが焼き切れないよう、CC1・CC2の電圧を規格内の範囲に収めてくれているものもありますが、基本的には避けた方が良いでしょう。
Lv.3 正しい抵抗が使われていない
USB Type-CではUSB 2.0やUSB 3.1の時よりも大きな電流が流せるようになっているため、どれほどの電流を流せるのか機器が判定する必要があります。
そのため、USB Type-C Specification Release 1.3, Section 4.11.1で
- USB Type-C 1.5Aや3.0A出力に対応していない場合…56kΩ
- USB Type-C 1.5A出力に対応している場合…22kΩ
- USB Type-C 3.0A出力に対応している場合…10kΩ
の抵抗を使用するように決められています。
つまり、
- 22kΩや10kΩが使われているUSB Type-A to USB Type-C ケーブルなど
は規格違反ということになります。
ケーブルの抵抗値はUSB Type-C ブレークアウトボードとマルチメーターやUSBケーブルチェッカーなどで確認出来ます。
ブレークアウトボードを使用する場合、USB Type-A to USB Type-C ケーブルのType-C(オス)をブレークアウトボード(メス)に差し込み、A5またはB5・Vbus間の抵抗値を計測することで確認出来ます。
また、パソコンのUSB Type-Aポート (充電器では判定できません) にUSB Type-A to USB Type-C ケーブルを挿し、Ampereで「USB 最大電流」を確認する方法もあります。特別な機器なしで判定できるものの、端末によっては「USB 最大電流」が表示されないことがあります。
56kΩが使われていれば500 mAと判定され、もし22kΩや10kΩが使われている規格違反のケーブルであれば1500 mAや3000 mAと判定されます。
もしも1500 mAや3000 mAと判定された場合、そのケーブルは危険なのですぐ取り外し、規格違反である旨をレビューして返品するか、廃棄しましょう。
USB Type-C製品が販売され始めた頃にはUSB Type-A to USB Type-C ケーブルなのに10kΩが使われている危険な製品が多くありましたが、56kΩの問題については様々なニュースサイトで取り扱われたこともあり、最近では違反しているケーブルを探す方が難しいくらいになっています。
ただし、NuAns NEOの付属ケーブルなど、純正品なのに規格に違反している場合もまだまだあります。消費者にとって意味の無いグッドデザイン賞にかける予算を捻出するためか、安全性を軽視しているようです。
USB Type-Cケーブルは価格が安く、規格に適合しているAmazonベーシックの製品がおすすめです。Thunderbolt 3対応も欲しければ、Plugableのケーブルがおすすめです。
Lv.4 Cold Socket非対応 (Vbus Hot)
ここからは主に充電器側の話になります。
USB Type-C Specification Release 1.3, Section 4.4.2では、USB Type-C (メス) を搭載した電源は機器が接続されたことを確認してからVbus (電源線) に電圧をかけないといけないと決められています。
USB Type-C Specification Release 1.3, Section 4.8.1.1でも言及されています。
規格通り、機器が接続されるまでVbusに電圧が掛からないポートのことは規格書内ではCold Socketと呼ばれているのですが、反対に接続を確認せずVbusに電圧を掛けるポートの呼び方は特に書かれていないため、様々なUSB Type-C製品をテストしているNarthan K.氏などは「Vbus Hot」と呼んでいます。
USB Type-Cハブで確認可能
特別な機器なしにCold Socket非対応 (Vbus Hot) であるかどうか確認する手順は以下の通りです。LEDが点灯するタイプのUSB Type-Cハブを用意してください。
- 充電器・ハブの接続をすべて解除する
- USB Type-A to Type-CケーブルのType-C側を、充電器のType-Cポートに挿す
- USB Type-A to Type-CケーブルのType-A側を、ハブに挿す
- 充電器をコンセントに挿す
ハブが光っていれば充電器がCold Socket非対応・Vbus Hotであるということになります。高級なハブだと安全機能が働く場合もあるので、安物のUSB Type-Cハブであるほうがテストには良さそうです。
もちろんハブを使わなくても、電圧・電流チェッカーがあればそれで確認することもできます。チェッカーのオス側に何も接続していない状態で、メス側にケーブルを差して電圧の表示がされなければOKです。
ちなみに私はミヨシのチェッカーを使っています。電流の向きは分からないものの、他のチェッカーより表示が大きく見やすいので重宝しています。1,500円と安いので、ハブがなければチェッカーを買った方が色々とテストできて便利です。
USB Power Delivery対応製品ではCold Socket非対応であることは少ないですが、USB Type-C 5V/3Aまで対応のACアダプタなどではCold Socket非対応の製品が多いです。
dodocoolのACアダプタがCold Socket非対応だったのですが、担当者と話した当初は「Vbus HotってUSB PD対応製品だけの話でしょ? 何言ってんの?」という感じだったので、どうもUSB Type-C Specification Release 1.3, Section 4.8.1.1を読み飛ばすメーカーが多いようです。
おそらくですが、USB Type-C Specification Release 1.3, Section 4.8.1.2で充電器にUSB Type-Cケーブルが直付けされている (=USB-based Chargers with USB Type-C Captive Cables) 場合は、USB PD非対応ならいつでもVbusに電圧を掛けても良いが推奨はしない、と書かれているのを勘違いしているのでしょう。
高級ケーブルで問題を起こす「Bridged CCs」
Quick Charge対応充電器と合わさることで危険になる「Bridged CCs」と呼ばれるものもあります。
USB Type-C Specification Release 1.3, Section 4.5.1.2.1では機器の接続を検出するためにCC1・CC2の2つを使うことになっているのですが、一部の充電器ではCC1・CC2を短絡して1つのRpでプルアップする設計になっています。(※CCは他にもプラグの向きの検出などにも使われています)
Bridged CCsの充電器では、5Aに対応したUSB Type-C to USB Type-Cケーブルなど、eMarkerと呼ばれるICチップを搭載したケーブル (e-markedケーブル) を使った時に接続が検出できず、充電が始まらないという問題が起こります。
また、充電器が接続した側をオーディオアクセサリ(Type-C to 3.5mmイヤホンジャックなど)だと誤認識し、D+/D-を使ってアナログ音声信号を出力する「Audio Adapter Accessory」モードになってしまう可能性もあります。
さらに、Quick Charge 2.0/3.0ではD+/D-で電圧を変更するため、USB Type-CポートでQuick Charge 2.0/3.0に対応し、Bridged CCsの問題を抱えた規格不適合の充電器に正常なe-markedケーブルを挿し、USB Type-Cポートでの音声出力に対応したスマートフォン(Le Max 2、Mi 6など)に挿した場合、最悪誤作動を起こしてスマートフォンが故障する可能性があります。
Cold Socket非対応 (Vbus Hot) の製品はBridged CCsの問題も抱えていることが多いです。
Bridged CCsの問題を抱えた充電器だと「安いケーブルだと使えるのに、5A対応ケーブルだと使えない…高かったのに…」と、本当は充電器が悪いのにケーブルが悪いように見えてしまう、という問題点もあります。
Lv.5 出力の仕様が表記と違う
USB Power Deliveryで充電する際、危機が対応している電圧・電流で充電できるよう、接続した機器が充電器からPower Data Object (PDO…充電するデバイス側に「この充電器ではどんな出力ができるか」という情報を通知するもの) を受け取り、その中から一つを選んで充電器に要求します。
しかし、市販の充電器の中には商品説明に書かれている出力仕様とPDOが一致していないものがあります。
PDOが商品説明と違っていても充電自体はできますが、商品説明よりも最大値が小さければ景品表示法違反、大きければ想定外の電圧・電流で充電器や接続した機器が故障・発火するといった可能性が出てきます。
Anker PowerPort+ 5 A2053511では最大30Wのところ、PDO上は最大45W出力できることになっていおり、問い合わせると仕様外と認めて返金した上でしれっと販売継続→サイレント修正される、RAVPower 20100mAh モバイルバッテリー RP-PB059では「互換性向上のため」と言い張って表示ミスを認めないなど、メーカーによって様々な反応が帰ってきますが、基本的にはユーザーを無視した対応をとられることが多いです。
PDOを調べるには、USB PDに対応したテスターであるKotomi Proや、Kotomi Premium KT001といった製品を使う方法と、USB PDに対応したスマートフォンを使う方法があります。
個人的にはKotomi Pro/Premiumの方が使いやすくておすすめです。最新版はどうか分かりませんが、Kotomi Pro v1.75の時点では私が日本語訳したので、設定などが日本語表示できるようになっています。(ちなみに、ChargerLAB POWER-Z KT001はKotomi Premium KT001のガワを変えただけの製品です)
Kotomi Pro/Premiumが一台あれば電圧・電流チェックにPDOの確認、USB PDやQC 3.0の強制出力までもできるので、かなり便利です。
スマートフォンでは、Snapdragon 835を搭載し、USB Power Deliveryに対応したXperia XZ Premium・XZ1・HTC U11などが使えます。OnePlus 5などUSB Power Deliveryを無効化しているスマートフォンでは、カーネルを改変しないといけません。
USB Power Deliveryで充電しているときに/sys/class/usbpd/usbpd0/pdo_h
を開くことで、現在のPDOを確認出来ます。pdo_hで見られるPDOはあくまでそのスマートフォンが扱える範囲のPDOのみですが、Xperiaではorg_pdo_h
に元々の通知されたPDOがすべて保存されています。(root化していないと読み取れない場合があります)
ちなみに、カスタムカーネルをビルドできる場合はこのパッチを当てることでGoodCRC、PR_Swapなどのメッセージをログに表示できます。USB PDスニファほど役には立ちませんが…。
PDOが遅れて通知される「Split PDO」
PDOに関連した動作で、「Split PDO」と呼ばれるものがあります。
Split PDOとは、例えば機器を接続した時は5V/3A、9V/3A、15V/3Aの三つしか通知せず、後から5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3Aの四つに増やしたPDOを通知する、といったように、最初のPDOと接続してしばらくした後のPDOが異なることを指します。
ほとんどの場合問題ありませんが、最初に15V/3Aしか通知しないせいで後から通知された20V/3AのPDOが無視される、など機器 (特にApple製品) によっては相性問題が発生する可能性があります。
Lv.6 USB Power Deliveryの挙動がおかしい
USB Power Delivery対応製品の中には、USB Power Deliveryでの充電時の挙動がおかしなものがあります。
安価に…とはいかないですが、USB Power Delivery プロトコルアナライザを使えば通信の内容を確認出来ます。
USB Power Delivery プロトコルアナライザには「Plugable 電流スニファ/アナライザ」や「PDワットみるC」、「Total Phase USB Power Delivery Analyzer」などがあります。どれも2万~4万とかなりのお値段です…。
専用のものに比べると少し見にくいですが、POWER-Z KT001 Kotomi Premiumでもプロトコルアナライザ機能があります。
GPD Pocketではハブでの充電時の挙動がおかしいせいでハブが壊れてしまったり、Tronsmart W2DTでは何故かACアダプタなのにデータ通信できることになっていたり (おそらく製造時に行われる、ACアダプタのファームウェア更新用)、といった例があります。
その他
過電圧・過電流防止機能など
USB Type-C規格に直接関わっているわけではありませんが、一般的に充電器には過電圧や過電流を防止する機能が搭載されています。
一部の製品では「どこからを過電流と見なすか」のしきい値がガバガバだったり、そもそも搭載していないものもあります。
ちゃんとした過電圧・過電流防止機能が搭載されているかは、電子負荷を使うことでチェックできます。ただ、USB Type-Cポートのある電子負荷はAliExpressなどでの販売がメインで、日本国内では最大35Wの電子負荷ぐらいしか購入できません。しかも割高です。
AliExpressでは最大35Wの電子負荷が1,700円程度、最大150Wの電子負荷が3,200円程度で販売されています。35Wの電子負荷だと4A以上の確認が難しいものの、コンパクトで邪魔になりません。150Wの方は安定してテストできますが、ACアダプタも必要なので少し大がかりになってしまいます。今後USB Power Delivery 20V/5A対応の製品や、USB Power Deliveryでの入出力が可能なモバイルバッテリーが増えて行くであろうことを考えると、150Wの方を買った方が幅広い製品で利用できると思います。
PSEマーク
日本国内で充電器を販売する場合、PSEマークを記載する必要があります。よく「PSEマーク認証済み!」「PSE取得」などと書かれることが多いですが、実は電気用品安全法に定められた検査を行ったことなどを自己申告するマークなので、国の機関に認証してもらったり、取得したりするものではありません。
PSEマークには丸型と菱型の二種類があり、特定電気用品の場合は菱形の表示が必要です。菱形では第三者検査機関に適合性検査をしてもらわないといけません。ただし、PSEマークがあるからといってUSB PD規格に適合している、安全だとは限らないので、あくまで参考程度です。
PSEマークを付けない、または不完全な表示では電気用品安全法違反となり、日本国内での販売は違法となります。
Amazonも規約ではPSEマークのない製品の出品を禁止しているのですが、主に中国メーカーはそれを無視して出品しており、Amazonに通報しても全く対処してくれない状態になっています。
最近では商品画像で親切にも「うちの製品はPSEマークがありません!」と仕様が書かれた面を見せてくれることも多いので、購入前に商品画像やレビューでチェックしましょう。
さすがにプロトコルアナライザでの調査は色々とハードルが高いのでなかなかできないと思いますが、
- USB Micro-B (メス) to USB 2.0 Type-C (オス)、またはUSB 3.1 Gen1 Type-A (メス) to USB 3.1 Gen1 Type-C (オス) 以外の組み合わせの変換アダプタは買わない
- USB Type-C (メス) を搭載した変換アダプタ・延長ケーブルは買わない
- USB Type-Cポートで独自の急速充電規格に対応 (Quick Charge 2.0/3.0など) しているものは避ける
- 56kΩ使用を明記していないUSB Type-A to USB Type-C ケーブルは避ける
- ハブでVbus Hotか確認し、Vbus Hotなら「不具合・破損がある」として返品する
- MacBookなど充電器の最大ワット数が分かる製品を持っていれば、仕様と違う値になっていないか確認する
といったことをすればほとんどの規格不適合品から大事なスマートフォンやノートパソコンを守れます。
規格不適合品を掴んでしまったときは泣き寝入りせず、メーカーに問い合わせた結果やレビューを公開したり、「不具合がある」「PSEマークのない違法製品だ」と問い合わせしましょう。
また、過去に規格不適合品を販売していたメーカーや、ロゴを変えただけのコピー製品を販売している販売者を避ける、というのも有効です。確認出来た限りでは
- Aukey
- BOLWEO
- CHOETECH
- dodocool
- Helper
- HOOKE
- IMICHAEL
- Mackertop、TopACEなど名前に「top」と付くメーカー・ブランド
- moniko
- NUARL
- Poweradd
- Punasi
- RAVPower
- Saniki
- Soulbay
- STISpeed
- Tenswall
- TUTUO
- Tronsmart
- UGREEN
- Volutz
- YOJOCK
- iVAPO、iMutoなど小文字のiで始まるメーカー・ブランド
- 良値
- (英数字2文字)-XXXXX(最大出力)H1というパターンのモデル名 (例: HR-TCPD65WH1)
といったメーカーやブランド、商品群は規格不適合の常習犯、または規格を正しく理解しようとしていないため、避けた方が良いです。
他にもAnkerの発売したての製品 (PowerPort+ 5 A2053511が初期ロットでは規格不適合品で、自主回収などは一切なかった) などにも注意した方が良いでしょう。
特定のブランドだから、と安心することは出来ませんが、規格不適合の製品を販売した上、修正する気が無いメーカーを除外していけば、安全なUSB Type-C製品を購入できる可能性がぐっと高まります。
Amazonで売っているような中華販売業者だと「工場に発注しているだけで仕様は把握していない」というパターンが多いので、メーカー直販サイトから選ぶのも一つの手です。たとえばRSコンポーネンツではUSB Type-Cケーブルだけでも20種類の長さ・タイプ、それ以外にもUSB Type-C to DisplayPort アダプタなど幅広い製品が販売されています。
また同社のオンラインサイトでは、回路の電流、
USB Type-C製品のレビューが役立った場合、私のほしい物リストから何か贈っていただけると嬉しいです。