RAVPower RP-PC144 2ポート充電器をいただきました。
目次
GalaxyシリーズもPPSで高速充電
RAVPower RP-PC144はUSB Type-CとUSB Type-Aの2ポートを搭載した充電器です。
USB Type-Cポートでは通常のUSB PDに加え、PPS (Programmable Power Supply) にも対応しているためGalaxy S20などのPPS対応端末で高速かつ低発熱な充電ができます。
- PPS 30W対応
- 軽量コンパクト
- 折りたたみ式プラグ
- 9Vの出力が規格違反 (出力が低くなる)
- QC2.0/3.0対応で規格違反
RAVPower RP-PC144 | |
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サイズ | 49 x 49 x 29 mm |
重さ | 実測85.3g |
USB Type-C出力 (65W時) | 商品説明:5V/3A、9V/2A、9V/2.22A、9V/2.77A、15V/2A (PPS記載なし) 実際のPDO:5V/3A、9V/2A、9V/2.22A、9V/2.77A、15V/2A、PPS 3.3~11V/3A |
ポート数 | USB Type-C x1 USB Type-A x1 |
付属品は特になく、説明書だけのシンプルなパッケージです。
USB Type-C x1、USB Type-A x1の2ポートです。
底面に仕様が書かれており、菱形PSEマークもあります。
PPSも出力のところに書いておくべきだと思いますが、USB PD 5V~15Vの部分しか記載されていません。
折りたたみ式プラグのおかげで持ち運び時に他のものに当たりにくくなっており、GaN採用のおかげでなかなかコンパクトです。
30Wはノートパソコンの充電には心許ないですが、スマートフォンやNintendo Switch、DAPなどの小型機器の充電には十分です。
スマートフォンやタブレットではPPS対応機器が増えてきましたが、その筆頭であるGalaxyシリーズのハイエンドタブレット、Galaxy Tab S7でも超急速充電ができました。
PPSは通常のUSB PDとは異なり電流・電圧が自動的に微調整されるもので、より充電効率が高まり発熱も抑えられます。
謎の9V
Cold Socket (非Vbus Hot) – ○
USB Type-Cの規格では、機器が接続されたことを確認してからVbusに電圧をかけるよう定められています。
この充電器は機器が接続されていない状態ではVbusに電圧をかけておらず、規格に適合した動作をしています。
Bridged CCs – ○
USB Type-Cポートは別個のRpでプルアップされています。
e-MarkedケーブルでもSinkの接続を検出できるため、問題なく充電できます。
PDO – ✕
仕様とTotal Phase USB Power Delivery Analyzerで確認した実際に通知されているPDOは一致しました。
ただ、9Vが何故か2A、2.22A、2.77Aの3種類に分かれており3Aは無い、という意味不明な構成なのは問題です。
USB PD規格では30W充電器の場合、9Vで3Aに対応していなければいけないことになっています。
これは規格違反であるばかりか実害もあり、「9V/3A」に対応しているスマートフォンでは「9V/2A」のPDOが選択されてしまい、本来は27W充電できるスペックであるにもかかわらず18Wでしか充電できない、という事態になります。
そもそも9V/3A一つにしておけば2.22Aや2.7Aを用意する必要はありませんし、何故わざわざ互換性を低めるような実装をしたのか理解に苦しみます。
RAVPowerの回答によると「iPhone12用の9V/2.22A、Samsung用の9V/2.77Aに向けた製品であったため正規規格の9V/3Aには対応しなかった」とのことでしたが、果たしてゴミを減らすために充電器の付属を止めた会社が「9V/2.22Aぴったりでないと充電させない」という仕様にするでしょうか。
一応調べてみましたが2.22Aや2.77Aぴったりでないと急速充電にならないという話は見つからず、逆にAppleのMagSafe仕様解説ページでは
- USB PD 対応の電源アダプタで使う場合、最大電力 9 V (ボルト)/3 A (アンペア) でネゴシエーションする設計になっています。
- MagSafe は iPhone に供給する電力量を動的に最適化します。
- 9 V/2.22 A の電源アダプタは最大 11 W の電力を供給
- 9 V/3 A 以上の電源アダプタは最大 14 W の電力を供給
- 9 V/3 A 以上の高ワット数の電源アダプタも、ピーク時最大 14 W で iPhone 12 に電力を供給
と真っ向から否定する内容が書かれていました。
MagSafe デュアル充電パッドにRP-PC144を接続した場合どんな挙動をするのか分かりませんが、もし2.22A (最大11W) のPDOが選ばれるような挙動であれば完全に無駄な最適化と言えます。
高速充電規格 – ✕
USB Type-CポートではUSB PD以外の急速充電規格であるQuick Charge 2.0/3.0などに対応しているため規格違反です。
RAVPower RP-PC144で5A対応ケーブルを使用するのはおすすめできません。
過電流防止機能 – ○
15VのPDOでは、14.58V / 2.48A = 36.18Wで出力がシャットダウンされました。
まとめ
- PPS 30W対応
- 軽量コンパクト
- 折りたたみ式プラグ
- 9Vの出力が規格違反 (出力が低くなる)
- QC2.0/3.0対応で規格違反
最近のRAVPower製品は文句の付け所がない素晴らしい製品が多かっただけに、かつての5V/2.4A問題に似た9V/2A問題が出てきたのは残念です。
USB PD規格に従わないせいで「最適化したつもりが、逆に本来の性能を発揮できなくなった」という笑えない状態になってしまっています。
PPS対応機器で充電する分にはこの問題は影響しないので、Galaxy S20やGalaxy Tab S7などGalaxy製品を持っている方には良いと思います。
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