これまで存在は確認されていたものの広く出回っていなかった、国内版Sony XperiaシリーズのBootloader Unlockをする方法を紹介します。
目次
2014年以降全モデルに対応
これまで国内キャリア版のXperiaでは「Bootloader unlock allowed: No」となっており、たとえSIMロック解除してもBootloader Unlockすることは不可能でした。
しかし有料ツールqUnlock Toolを使用することで、この制限を回避できることが分かりました。
qUnlock Toolは有料ツールとなっており、NUGSMやeBayで「Sony Xperia Cable Unlock – 0 Counter Supported – qUnlock Tool」としてライセンスが販売されています。NUGSMでは22.80GBP、eBayでは少し安い24.99USDで、約2,600円~3,100円ほどです。
リセラー登録で$20、毎月$10かかるそうなので、ペイできるリセラーは価格を安く抑えているのでしょう。
ちなみにqUnlock Toolは本来の役目としてはSIMロックの解除をすることがメインで、リトライ回数が0になってしまった個体でもSIMロック解除できるとされています。強制SIMロック解除の影響で「Bootloader unlock allowed: Yes」になるというイメージですが、SIMロック解除済みの個体でも問題なく使用できます。
qUnlockTool_14_07_2019.zip の更新履歴ではSM8150搭載モデル = Xperia 1とXperia 5に対応したとされています。
2014/06/30以降に発売されたモデルに対応しているとのことなので、
- Xperia Z2、Z3、Z4、Z4 Tablet、Z5
- Xperia X Performance、X Compact、XZ、XZ Premium、XZ1、XZ2、XZ3
- Xperia 1 SO-03L・SOV40・802SO、Xperia 5 SO-01M・SOV41・901SO
といったXperiaに対応していることになります。
【追記】最新版だとXperia 5 IIやXperia 1 IIIなどにも対応しています。
クレジット購入
ライセンスクレジットを購入すると、数時間でユーザー名とパスワードが届きます。
NUGSMの場合土日は休みで、中国人運営らしく国慶節などは特に断りなく休むようです。
中国の休日でない、日本時間平日8時に購入すると20時に届きました。
qUnlock Toolのインストール
このユーザー名とパスワードをqUnlock Toolに入力すると使える…のですが、出自不明の謎ツールなので普段使いのPCには入れない方が良いでしょう。
幸いWindows 10の評価用仮想マシンが無料配布されているので、VMwareやVirtualBox等でセットアップすればそちらで安全にインストールできます。
ドライバのインストールがまだの場合は、Sony_Mobile_Software_Update_Drivers_x64 (またはx86) _Setup.msiでインストールしてください。
TAとpersistのバックアップ
一時root取得できるモデルの場合は、実行前にTAとpersistのバックアップをとっておきましょう。
XperiaはBootloader Unlockすると
- X-Realityや「動画再生時の高画質処理」
- カメラのノイズ低減処理
- WideVine L1
といったものが失われますが、事前にバックアップしておくことで書き戻せるようになります。
昔はBootloader Unlockするとカメラで緑色の画像しか保存できなくなる、などひどい制限がされていたものですが、Xperia 1では特に問題なく写真撮影できており、ノイズも増えていないように見えます。
adb shellにて
su
dd if=/dev/block/bootdevice/by-name/TA of=/sdcard/ta.img
dd if=/dev/block/bootdevice/by-name/persist of=/sdcard/persist.img
という風にするとバックアップできます。MD5やSHA-1値で破損していないかチェックしてください。
Unlock実行
qUnlock Toolをインストール後、発行されたユーザー名とパスワードをUSERNAMEとPASSWORDに入力し、「Check Credits」を押すとクレジットの有効確認が行われ「SERVER CREDITS LEFT/USED: 1/0」と表示されます。1 IMEIで1クレジット消費します。有効期限は発行から15日のようですが、当日に済ませた方が良いでしょう。
Xperiaの電源を切り、音量キー下を押しながらUSBケーブルを挿して「Unlock」を押すと証明書の抜き取りとIMEIのチェック、ロック解除の計算と書き込みが行われます。
わずか39秒であっさりとロック解除されてしまいました。
【追記】ツールのバージョンによってはボタンが異なるようです。「SIM Unlock」ボタンがある場合はそちらを押してください。
再度TAとpersistのバックアップ
qUnlock ToolではTAに2箇所ほど書き込みをしているようです。
この状態でもう一度TAとpersistのバックアップをとっておきましょう。これで
- Bootloader unlock allowed: No
- Bootloader unlock allowed: Yes
の両方のイメージを残せるので、DRMキーを含めいつでも元の状態に戻せます。
Bootloader Unlock用のコード取得
ここからは海外版・SIMフリー版Xperiaと同じくBootloader Unlock用のコードを取得します。
Sony Mobile公式サイトより何かモデルを選び (リストに無いときは似たモデルを選ぶ) IMEIを入力して、保証がなくなることを理解したというチェックボックスにチェックを入れて「Submit」を押します。
するとすぐコードが表示されます。昔はメール認証が必要でしたが、ずいぶんと楽になりました。
Bootloader Unlockする
開発者向けオプションで「OEMロック解除」をオンにしたあと、音量キー上を押しながらUSBケーブルを接続してfastboot modeに入ります。
「fastboot oem unlock 0xE19536435082C33B
」というように0xの後に上記手順で発行したBootloader Unlock用のコードを入れて実行すればBootloader Unlockされ、データが初期化されます。
qUnlock Toolのバージョンによってはfastboot oem unlock 0x1234567890ABCDEF
とダミーコードを入れないとUnlockできない場合があるようです。
*#*#7378423#*#*で入れるService MenuのConfigurationでも、Bootloader unlocked: Yes となります。
あとは煮るなり焼くなり好きなようにできます。
XperiaはFTFを取得できるため、システムイメージの取得やバージョンダウンもかなり簡単にできます。国内版Xperiaの過去のバージョンのFTFはこちらに保管しています。
Magiskでroot化した状態でもFeliCa / おサイフケータイは問題なく動作しました。
XperiaはSony Open Devices programとしてAOSPの開発が公式で盛んですし、キャリアでバージョンアップが打ち切られてもAOSPやカスタムロムを焼いて延命することもできます。
SIMフリー版が発売されたXperia 1・Xperia 5ですが、キャリア版は未使用品でさえ3万円台に落ちていましたし、安いキャリア版を買ってロック解除したほうが遊びやすいです。対応バンドがほぼそのキャリアのものに限られる、というところが厄介ですが、rfnvがあればバンド解放できてしまうかもしれません。