OPPO Find N5 中国版を購入しました。
異様なほどの軽量薄型折りたたみスマホ
OPPO Find N5は開いた状態で厚み4.21mm、折りたたんでも厚み8.93mmという驚異の薄さを実現した折りたたみスマホです。
厚み8.93mmといえばOnePlus 13とほぼ同じですし、重さも約229gと一般的なハイエンドスマホと変わらないレベルです。
ディスプレイの折り目は前モデルからさらに目立たなくなり、本体はIPX6・IPX8・IPX9防水に対応したことでより耐久性が増しています。
このレビューは12GB+256GB版・PKH110_15.0.1.202(CN01)で行っています。
- 低発熱なSnapdragon 8 Elite 7コア版
- 折り目が目立たない8.12インチディスプレイ
- テレマクロ対応の望遠カメラ搭載
- ワイヤレス充電対応5,600mAhバッテリー
- USB 3.2 Gen 2ポート
- IPX6・IPX8・IPX9防水
- 中国版でもAndroid Auto対応
- 発熱対策が強すぎてゲーム性能は控えめ
- スピーカーは2基で音質ダウン
- 超広角撮影をよくする人には不向き
- OnePlus Openと違ってBootloader Unlockできない
製品名 | OPPO Find N5 |
---|---|
OS | Android 15 |
RAM | 12GB / 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256GB / 512GB / 1TB UFS 4.0 |
SoC | Snapdragon 8 Elite 7コア版 |
ディスプレイ | 内側スクリーン: 8.12インチ 外側スクリーン: 6.62インチ 内側スクリーン解像度: QXGA+ 2480 x 2248 外側スクリーン解像度: FHD+ 2616 x 1140 120Hz AMOLED |
サイズ | 折りたたみ時: 高さ約160.87mm、幅約74.42mm、厚さ約8.93mm 展開時: 高さ約160.87mm、幅約146.58mm、厚さ約4.21mm |
重さ | 約229g |
SIM | nano SIM + nano SIM (グローバル版はeSIMあり) |
リアカメラ | 広角: 50MP 2軸OISサポート 望遠: 50MP 2軸OISサポート 超広角: 8MP |
フロントカメラ | 内側スクリーン: 8MP 外側スクリーン: 8MP |
バッテリー | 5600mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 3.1 Gen 2) |
バンド | 2G GSM:850/900/1800MHz 3G WCDMA:1/2/4/5/8 4G LTE FDD:1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28/66 4G LTE TDD:34/38/39/40/41/42/48 5G:n1/n2/n3/n5/n7/n8/n20/n28/n38/n40/n41/n66/n77/n78/n80/n81/n83/n84 |
目次
説明書、保護ケースや充電ケーブル、充電器などが付属しています。
残念ながら保護ケースはカメラがある面だけを保護するタイプなので、外側ディスプレイの面も保護したければ他のケースを探さないといけません。
保護フィルムは最初から貼り付けられています。
充電器はUSB Type-Aで、80W急速充電できるタイプです。
ディスプレイ:折り目が目立たず低反射
OPPO Find N5の内側ディスプレイは8.12インチ2480 x 2248解像度で、少しだけ反射防止になっている保護フィルムが貼られています。
高光沢と一緒で指紋が付くものの、反射を防いでくれるおかげで気になりにくいです。
アンチグレア保護フィルムと違って画質劣化・ギラつきがなく、快適です。
折り目も目立たず、前モデルOnePlus Openよりもさらに洗練されています。
7.82インチだったOnePlus Openと比べると一回り大きくなっています。
画面は大きくなったのに薄型軽量化されているとは驚きです…。
マンガでは余白が少し大きめになるものの、見開きで見やすいです。
動画ではアスペクト比16:9のためさらに黒帯が大きくなります。
無駄なスペースがあるとはいえ、普通のスマホで見るよりも若干大きめの表示で見られます。
配列はダイヤモンドピクセルで、各ドットが丸くなっています。
アプリの表示アスペクト比を変えたり、タスクバーでアプリを切り替えやすくしたりできます。
画面分割では2つのアプリを横並びに表示でき、サイズ調整や入れ替えなどが簡単にできます。
分割した状態をグループとして記録しておき、後ですぐ呼び出すこともできます。
明るさを最大にして全白画像を表示した状態で輝度をLX-1336Bで計測すると、最大875nitに達しました。
最近のミドルハイ以上のスマホだと1000nit超えを出すことが多いのでやや物足りませんが、薄型化したこととのトレードオフなのかもしれません。
外側ディスプレイは795nitでした。
明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。
屋内では400~500nit程度、屋外では800~1000nit程度でないと見にくいとされています。
ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。
リフレッシュレートは120Hz対応で、アプリ別に設定できます。
タッチサンプリングレートをTouch Sample Rate Testerで計測すると、シングルタッチ・マルチタッチともにMovement Rateは平均250Hz程度でした。
画面をタッチしたときの感度の高さに関係しています。
この数値が大きいほど、タッチに素早く反応してくれることが多いです。
ただし実際にはタッチ遅延はそれだけでは決まらず、他の要因が影響して最終的なタッチ遅延は大きいこともあります。
目安として、画面のリフレッシュレートに対してMovement Rateが2倍程度なら普通、3倍を超えるなら高めで、ゲーミングスマホなら5~6倍程度になることが多いです。
WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は合計36msでした。
画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。
この数値が小さいほど、素早く反応するということです。
ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。
Widevine L1で、Amazonプライムビデオなどで高画質なストリーミング再生ができます。
背面等:さらさらとした手触り
背面はマット加工されており、さらっとしていて指紋汚れなどが付きにくいです。
ホワイトだと光の反射で大理石のようなデザインが見えて格好良いです。
重さは236.3gです。
軽さもさることながら薄さも素晴らしく、開いた状態で4.21mmとかなりの薄さです。
ブラックのOnePlus Openと比べてみると違いは一目瞭然で、カメラの出っ張りも小さくなったことで持ちやすくなりました。
USB Type-Cポートぎりぎりまで攻めたデザインになっていて、これを大きく超える薄型化はポートレスにしない限り実現できないでしょう。
薄型化の影響か、ヒンジの固定角度はOnePlus Openに比べると若干90°に近づいているようです。
これ以上広げると徐々に勝手に開いてしまいます。
カメラ:テレマクロ対応
OPPO Find N5は
- 50MP 広角
- 50MP ペリスコープ望遠
- 8MP 超広角
というトリプルカメラ構成です。
前モデルでは超広角が48MPだったところ8MPのおまけレベルに大幅グレードダウンしています。
折りたたみを活かして、途中まで折って地面に置いた状態で安定した撮影をしたり、プレビューを大画面で表示させたりできます。
外側ディスプレイにカメラUIを表示させるオプションもあるので、リアカメラで簡単に自撮りできます。
手持ち撮影した写真はこちらに保存しています。
若干暖色寄りに撮影されることが多い印象です。
夜景モードでは肉眼以上に明るくせず、見たままの暗さで撮影されました。
ペリスコープ望遠カメラのおかげで遠くのものも綺麗に撮影できます。
6倍を超えるズームだと段々AI補正が強くなり、妙にのっぺりとした表現になりやすいです。
ペリスコープ望遠カメラでは10cmテレマクロ撮影に対応し、細かな部分までくっきり撮影できます。
テレマクロのおかげで影を落とさずに小物を撮影しやすく、マクロ撮影という意味では超広角が8MPなのは気にならないです。
8MPでは解像感がかなり違ってくるため、ワイドな風景写真を撮影したいという方には向いていません。
OnePlus Open / OPPO Find N3の利用統計データを元に開発しているでしょうし、超広角を使っている人は小数派だと判断されてグレードダウンされたのかもしれません。
スピーカー:横持ち時のみステレオ感あり
OPPO Find N5はデュアルスピーカー搭載です。
前モデルではクアッドスピーカーでどんな方向でもステレオ感があったものの、OPPO Find N5では横持ちにしないといけなくなりました。
音質もダウンしており、低音が弱めです。ここにも薄型化の影響が出ていますね…。
Bluetooth Codec Changerで対応コーデックを確認するとAAC / aptX / aptX HD / aptX Adaptive / LDAC / LHDCに対応していました。
LHDC 5.0対応イヤホンならOPPOグループ以外のイヤホンでもLHDCを使えます。
Dolby Atmosには対応せず、ORealityのみ利用できます。
ポート:80W有線&50W無線充電に対応
折りたたみスマホでありながらもIPX6・IPX8・IPX9防水のため、多少の水濡れは問題ありません。
USB 3.2 Gen 2ポートで高速なデータ転送ができ、DisplayPort Alt Modeでの映像・音声出力にも対応しています。
80W急速充電に対応しており、50Wワイヤレス充電も可能です。
残量80%で充電を停止し以降はバッテリーを充電せず直接給電する「電荷制限」機能があるため、過充電でのバッテリーへの負担を抑えられます。
充電器から最小限の電力だけを要求し、給電を上回る消費電力になると充電が再開されるので、バイパス充電と同じ仕組みを使っているとはいえゲーム用途には使えません。
対応バンドは
- 2G GSM:850/900/1800MHz
- 3G WCDMA:1/2/4/5/8
- 4G LTE FDD:1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26/28/66
- 4G LTE TDD:34/38/39/40/41/42/48
- 5G:n1/n2/n3/n5/n7/n8/n20/n28/n38/n40/n41/n66/n77/n78/n80/n81/n83/n84
でY! mobileやSoftBank、LINEMOといったSoftBank系の回線はもちろん楽天モバイルでもauパートナーエリア含め利用可能で、ahamoなどのdocomo回線でも概ね問題ないでしょう。
VoLTE通話も可能です。
通話中は録音やAI要約もできますが、要約は日本語に対応していないようでした。
中国版でありながらもAndroid Autoに対応しており、デスクトップ ヘッドユニットで動作することは確認できました。
中国版はGoogleロケーション履歴やクイック共有が使えない程度ですし、個人的にはそれぐらいのために数万円追加で払ってグローバル版にするほどの価値は無いと感じます。
通知も設定すればちゃんと遅れなく届き、プリインストールアプリもほぼすべて削除できます。
性能:発熱防止が強すぎる
OPPO Find N5は7コア版のSnapdragon 8 Eliteを搭載しており、性能よりも省電力に寄った調整がされています。
薄型化の影響で放熱機構を強化しにくいこともあって、発熱抑制がかなり強く普段使いには良いですがゲームには不向きです。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア1333・マルチコア4345、通常版でシングルコア3081・マルチコア8544でした。
大きな差が出ているため、パッケージ名判定での性能制御を行っているようです。
AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。
通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。
メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。
そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。
こちらの記事で詳しく解説しています。
背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。
シングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。
ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア6246→4118でした。
通常アプリだと判定させるとバッテリー温度が33℃を超えたあたりで強制終了されてしまい、ゲームアプリとして登録した状態でないと完走できませんでした。
通常アプリでは発熱を抑えようとキツめな制御をしていて、ゲームアプリは制限を緩和する仕組みのようです。
Geekbench通常版の結果からも分かるとおり、ベンチマークアプリだと判定されるとゲーム登録していなくてもそのときだけリミッターを解除して本気を出すため、通常版で本当の普段使いの性能や発熱具合を把握することはできません。
Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。
スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。
あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかないため、人気ゲームがほぼVulkan APIを使っていないことを考えるとスコアはあまり役に立たず、GPU使用時の発熱具合の確認が主となります。
Vulkanで性能が出るならOpenGLでも高い性能だろう、発熱しやすいなら実ゲームではFPS維持が難しいだろうといった推測しかできません。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア16505でした。
ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。
8000以上あれば十分です。
UFS 4.0ストレージ、LPDDR5Xメモリを搭載しています。
CPDT Benchmarkで計測した結果では、ストレージはリード・ライト共にトップクラスの速度でした。
シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。
ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。
CPUの使用率が高い原神をパフォーマンスモード・最高画質・60FPS設定・ナタ (ムアラニでスキルを使って道なりに移動) で30分プレイしてScene 8で計測すると、平均58.9FPSで1FPSあたり118.85mWの消費電力でした。
バッテリー温度は最大37.8℃程度まで上昇しました。
原神ぐらいの負荷であれば快適にプレイできるものの、8コア版の8 Eliteに比べると40FPS台に落ちる部分が多めで、やや消費電力が大きいです。
1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。
電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。
ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。
平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。
(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)
GPUの使用率が高い崩壊:スターレイルをパフォーマンスモード・最高画質・ピノコニー「黄金の刻」で黄泉の秘技を連打して30分プレイすると平均48.3FPSでした。
7~8分ほどで性能制限が入って45FPSほどになり、29分には30FPSへの制限に移行してしまいました。
バランスモードだとさらに早く性能制限が入るため、滑らかな表示での長時間のプレイは難しいです。
まとめ
- 低発熱なSnapdragon 8 Elite 7コア版
- 折り目が目立たない8.12インチディスプレイ
- テレマクロ対応の望遠カメラ搭載
- ワイヤレス充電対応5,600mAhバッテリー
- USB 3.2 Gen 2ポート
- IPX6・IPX8・IPX9防水
- 中国版でもAndroid Auto対応
- 発熱対策が強すぎてゲーム性能は控えめ
- スピーカーは2基で音質ダウン
- 超広角撮影をよくする人には不向き
- OnePlus Openと違ってBootloader Unlockできない
折りたたみスマホなのに一般的なスマホと同じぐらいの厚み・重さを実現しているため、OnePlus Openに慣れた身としては手に持つ度に「こんなに薄くて大丈夫か」と違和感があるほどです。
スピーカーのグレードダウンなど薄型化するにあたっての妥協がいくつかあるのが少し残念ではあるものの、個人的にはそれよりもこの薄さ・軽さで持てることの感動のほうが大きいです。
OnePlus Open / OPPO Find N3の時点で完成度の高い折りたたみスマホでしたが、OPPO Find N5はさらに期待を超えるクオリティで素晴らしいです。
中国版は最低構成の12+256GBで8999CNY (税込 約19.8万円)~にて購入できます。
グローバル版は16+512GBのみで、S$2499 (約28万円) にて販売されます。
中国版は黒・白・紫の3色が発売される一方、グローバル版では黒・白の2色のみです。