OnePlus Pad Pro (OnePlus Pad 2) を購入しました。
最高性能の巨大タブレット
OnePlus Pad ProはSnapdragon 8 Gen 3を搭載したタブレットです。
12.1インチ3K解像度のディスプレイを搭載し、アスペクト比7:5のおかげでマンガの見開き表示などで余白が最低限に抑えられます。
グローバルではOnePlus Pad 2として発売されます。
このレビューは12GB+256GB版・OPD2404_14.1.0.237(CN01)で行っています。
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 3
- 12.1インチ3Kディスプレイ
- 144Hzリフレッシュレート
- 6つのスピーカーで立体音響も可能
- 9,510mAhバッテリー搭載
- USB 3.2 Gen 1ポートで映像出力対応
- タブレットにこそ欲しい超解像などは非搭載
- 通信や位置情報共有は中国外ではほぼ使用不可
- ゲーム以外では強い性能制限
OnePlus Pad Pro (OPD2404) | |
---|---|
OS | Android 14 |
RAM | 8GB / 12GB / 16GB LPDDR5X |
ストレージ | 128GB / 256GB / 512GB UFS 4.0 |
SoC | Snapdragon 8 Gen 3 |
ディスプレイ | 12.1インチ 3000 x 2120 アスペクト比 7:5 144Hzリフレッシュレート LCD |
サイズ | 268.66 × 195.06 × 6.49mm |
重さ | 584g (実測589.6g) |
SIM | — |
リアカメラ | 13MP (SmartSens SC1320CS) |
フロントカメラ | 8MP (SmartSens SC820CS) |
バッテリー | 9,510mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 3.2 Gen 1) |
目次
説明書、充電ケーブル、充電器が付属しています。
購入特典として保護ケースも付いてきました。
保護フィルムは貼り付けられていません。
ディスプレイ:白銀比でマンガ向き
OnePlus Pad Proは12.1インチ 3000 x 2120解像度のディスプレイを搭載しています。
アスペクト比は白銀比と呼ばれる7:5で、マンガを見開き表示したときの余白がほとんどありません。
Excelシートなどを表示したときも一般的なタブレットより広い範囲を表示できますし、作業効率がアップします。
一方、16:9の動画などを映したときは上下の黒帯が太めになります。
明るさ自動調整オンでの全白画像表示時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大486nitに達しました。
AMOLEDディスプレイ搭載のタブレットに比べるとやはり明るさが落ちてしまいますが、屋内で使うことが多いと思うので十分でしょう。
明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。
屋内では400~500nit程度、屋外では800~1000nit程度でないと見にくいとされています。
ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。
リフレッシュレートは144Hz対応です。
アプリ毎に120Hzや60Hzに設定することもできます。
タッチサンプリングレートをTouch Sample Rate Testerで計測すると、シングルタッチ・マルチタッチともにMovement Rateは290Hz程度でした。
画面をタッチしたときの感度の高さに関係しています。
この数値が大きいほど、タッチに素早く反応してくれることが多いです。
ただし実際にはタッチ遅延はそれだけでは決まらず、最終的なタッチ遅延は大きいこともあります。
目安として、画面のリフレッシュレートに対してMovement Rateが2倍程度なら普通、3倍を超えるなら大きめで、ゲーミングスマホなら5~6倍程度になることが多いです。
WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は合計54.5msでした。
少し大きめの遅延です。
画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。
この数値が小さいほど、素早く反応するということです。
ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。
Widevine L1で、AmazonプライムビデオなどでHD画質でのストリーミング再生ができます。
背面:メタリックでシンプルなデザイン
背面はメタリックで指紋汚れなどが付きにくいです。
中央部にカメラがあるだけというシンプルさです。
重さは589.6gです。
スピーカー:6基搭載で立体感あり
OnePlus Pad Proは6基のスピーカーを搭載しています。
音の広がりはよく、ベースがあまり目立たない一方ボーカルが目立ち、ハイハットなど高音がやや小さいように感じます。
Dolby AtmosではなくOReality Audioという独自技術を採用しており、スピーカー時はオフにできません。
立体音響とHolo Audioはスピーカーでも利用できます。
音の広がりがさらに良くなり、別々の場所から鳴っているように感じられるサラウンド感が面白いです。
WALT Latency Timerでオーディオ出力遅延を計測すると37.1msでした。
Bluetooth Codec Changerで対応コーデックを確認するとAAC / aptX / aptX HD / aptX Adaptive / LDAC / LHDCに対応していました。
ただしLHDCはOnePlus系列のイヤホンでなければ利用できないよう制限されています。
ポート:擬似的なセルラー機能あり、ただし…
9,510mAh容量のバッテリーを搭載しており、67W急速充電対応です。
USB 3.2 Gen 1ポートで高速なデータ転送ができ、DisplayPort Alt Modeでの映像・音声出力にも対応しています。
上部にはSIMスロット…ではなくスタイラスペンをくっつけるための場所が用意されています。
OnePlus Pad Proはモバイルデータ通信に対応していないものの、「通信の共有」の機能を使うことでテザリングよりもバッテリー消費を抑えた通信共有ができます。
データ通信に加えて通話、SMS、位置情報までも共有できる便利機能…なのですが、残念ながらOnePlusスマホかつOnePlusアカウントにログインした状態でなければ使えません。
中国版ではOnePlusアカウントへのログインに中国の電話番号を要求されることが多いため、使うにはハードルが高いです。
グローバル版にも同じような機能があるようなので、グローバル版同士であれば使いやすいと思います。
ちなみに「通信の共有」を使っていない状態でもGPS 位置情報を使える扱いにはなっているので、GPSの有無でアプリ利用を拒否されることはありません。
下部には別売りのキーボードケースを装着するためのPOGOピンがあります。
性能:36.9℃で原神58.9FPSプレイ
OnePlus Pad ProはSnapdragon 8 Gen 3を搭載しており、Androidタブレットとしては最高峰の性能を持ち大きなボディを活かした放熱で長時間快適なプレイが可能です。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア941・マルチコア4541、通常版でシングルコア934・マルチコア4583でした。
大きな差がないためパッケージ名判定での性能制御は行っていないようですが、ゲームモード時以外は全アプリで大幅な性能制限を行っていることになります。
普段使いの動作にはあまり影響しないとはいえ、一般的な8 Gen 3の半分ぐらいの力しか出さないというのは極端すぎる調整ではないかと思います…。
スマホと違って放熱しやすくバッテリーも大容量ですし、少し制限を緩めて欲しいです。
AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。
通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。
メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。
そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。
こちらの記事で詳しく解説しています。
背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。
2024年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。
ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア4385→3365で、温度上昇は6℃上昇でした。
こちらもSnapdragon 8 Gen 2レベルのピーク性能を出しつつ、8 Gen 2スマホよりは安定度が高く維持できています。
Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。
スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。
あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかないため、人気ゲームがほぼVulkan APIを使っていないことを考えるとスコアはあまり役に立たず、GPU使用時の発熱具合の確認が主となります。
Vulkanで性能が出るならOpenGLでも高い性能だろう、発熱しやすいなら実ゲームではFPS維持が難しいだろうといった推測しかできません。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア11008でした。
省電力に極振りという感じで、Snapdragon 870レベルのスコアです。
ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。
2024年現在は8000以上あれば十分です。
UFS 4.0ストレージ、LPDDR5Xメモリを搭載しています。
CPDT Benchmarkで計測した結果はそこそこで、8 Gen 3機種としてはあまり速くない部類です。CPU・GPU性能と同じく普段は本気を出さないのでしょうね…。
シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。
ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。
CPUの使用率が高い原神をパフォーマンスモード・最高画質・60FPS設定・フォンテーヌ (水中→陸上) でプレイしてScene 7で計測すると、平均58.9FPSで1FPSあたり155.52mWの消費電力でした。
バッテリー温度は最大36.9℃程度までの上昇で、高いフレームレートと低い温度を両立できています。
放熱に余裕があるせいか、消費電力が制限されず大きめになっていて電力効率は少し悪めです。
1FPSあたりの消費電力が低いほうが電力効率が良いと言えます。
電力効率が良いとバッテリー消費が少なく、悪いと消費が激しくなってしまいます。
ゲームで電力効率が悪いスマホは他のアプリでもバッテリー消費が大きい傾向にあるため、バッテリーの減りが早いと感じることが多いです。
平均FPS (フレームレート) は、どれほど滑らかな表示を維持できているかを示し、高いほど良いです。
(細かく言うと平均FPSが高く、なおかつ「ジャンク」というちらつきが少ないほど体感の滑らかさが良くなります)
GPUの使用率が高い崩壊:スターレイルをパフォーマンスモード・最高画質・ピノコニー「黄金の刻」で黄泉の秘技を連打して15分プレイすると平均48.6FPSでした。
消費電力は平均10Wで、スマホでそれぐらい出すとバッテリー温度は50℃を超えてしまいますがOnePlus Pad Proでは37.2℃に抑えられています。
動作的には快適なものの、3000 x 2120という高い解像度にゲーム側が追いついていないため、文字部分は綺麗でもキャラのモデルなどが若干ぼやけて見えることがあります。
OnePlus Ace 3 Proなどで搭載しているアップスケーリングを搭載してくれれば緩和できたと思うのですが、残念ながらOnePlus Pad Proには搭載されていません。
なお、root化してlybxlpsv’s Frame Generation for Androidを使うことでGPUによるフレーム補間をすることはできます。
OnePlus Ace 3 Proが原神でGPUフレーム補間をしているのと同じようなやり方を非公式に実装しているため、グラフィックが乱れるなど最適化はされていないものの滑らかなプレイが可能となります。
アーリーアクセスで不安定、かつ1台ごとにライセンスを購入しないといけないということでハードルが高いのがネックです。
アップスケーリングも実装できるかも、ということなので今後に期待です。
OS:日本語対応
OnePlus Pad Proは日本語にしっかり対応しており、日本語フォントにできるため普段使いしやすいです。
APKMirrorなどでPlayストアのAPKをダウンロードしてインストールすればPlayストアを使えます。
クイック共有やロケーション履歴などは利用できず、AR Coreの機能についてはまだ承認されていないためか利用できませんでした。
キーボードはGboardをインストールすれば、左右に分割して使うこともできます。
まとめ
- 高い性能と省電力を両立するSnapdragon 8 Gen 3
- 12.1インチ3Kディスプレイ
- 144Hzリフレッシュレート
- 6つのスピーカーで立体音響も可能
- 9,510mAhバッテリー搭載
- USB 3.2 Gen 1ポートで映像出力対応
- タブレットにこそ欲しい超解像などは非搭載
- 通信や位置情報共有は中国外ではほぼ使用不可
- ゲーム以外では強い性能制限
巨大な高解像度ディスプレイにSnapdragon 8 Gen 3を搭載することで、Androidタブレットの中では最高レベルの快適なゲームプレイが可能となっています。
OnePlusブランドのおかげでBootloader Unlockが簡単で、root化することでスペックを活かしたフレーム補間やチューニングができることも魅力的です。
中国では2999CNY (税込 約7万円) ~で購入できます。
グローバル版であるOnePlus Pad 2も販売開始されています。
グローバル版ならデータ通信や位置情報をOnePlusスマホから共有しやすいので、セルラー対応タブレットのように扱えてさらに便利になると思います。
アメリカAmazonでも7/31以降に買えるようになるのではないかと思います。