MOONDROP MIAD01を購入しました。
3.5mm & 4.4mm端子搭載スマホ
イヤホンなどで有名なオーディオブランドMOONDROPから、MOONDROP MIAD01が登場しました。
MOONDROP的にはオーディオプレイヤー・インターネットオーディオデバイスという位置付けであってスマートフォンではないことになっていますが、5G通信やVoLTE通話、アプリのインストールなどもできますし普通のスマホと変わりありません。
これまでのAndroid DAPはSnapdragon 665や3GBメモリ搭載などあまりにも性能が低いものばかりだったため、MOONDROP MIAD01は安価でありつつもDAPとしては最上位クラスの性能を持っており快適な音楽再生環境を構築できます。
快適に音楽ストリーミング再生を楽しみたいという方におすすめです。
このレビューはバージョンASW2301_CM_1201_T2013で行っています。
- Android DAPとしては高い性能
- 3.5mm & 4.4mmジャック搭載
- CS43130 DACを2基搭載
- 256GBストレージ、microSDカード対応
- 6.7インチの大画面
- 5,000mAhバッテリー
- 5Gデータ通信対応
- USB 3.2 Gen 1ポートで高速データ転送
- 質感は安っぽい
- SRC回避がうまくできていない?
- 楽曲切り替え時にノイズが出る場合あり
- カメラ画質はメーカー説明通り微妙
- GPSの掴みが悪い
- Playプロテクト認定なし & Widevine L3
水月雨 MOONDROP MIAD01 (MD-PH-001) | |
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OS | Android 13 |
RAM | 12GB LPDDR4X |
ストレージ | 256GB UFS 3.1 microSDカード対応 |
SoC | MediaTek Dimensity 7050 |
ディスプレイ | 6.7インチ FHD+ 2460 x 1080 アスペクト比 20:9 120Hzリフレッシュレート AMOLED |
サイズ | 163 × 75 × 13mm |
重さ | 実測204.8g |
SIM | nano SIM + nano SIM |
リアカメラ | 64MP (Sony IMX686) + 8MP (超広角 OMNIVISION OV8856) |
フロントカメラ | 32MP (OMNIVISION OV32B40) |
バッテリー | 5,000mAh |
USB端子 | USB Type-C (USB 3.2 Gen 1) |
バンド | GSM: B2/3/5/8 WCDMA: B1/2/4/5/8 LTE: B1/2/3/4/5/7/8/12/17/20/28(A+B)/38/40/41/66 5G: N1/3/5/7/8/20/28/41/77/78 |
目次
MOONDROPらしい美少女イラストが大きく描かれたパッケージの中に説明書と充電ケーブルが入っています。
保護フィルムは最初から貼り付けられています。
CMIT IDが2211133C (Xiaomi 13と同じ) なのは何故だろう…と思っていたらコピペして書き換え忘れたというのが真相のようで、実際のCMIT IDは2023CP20681でした。
ディスプレイ:120Hzで滑らか動作
MOONDROP MIAD01は6.7インチ2460 x 1080解像度のAMOLEDディスプレイを搭載しています。
配列はダイヤモンドピクセルです。
DAPでAMOLEDディスプレイというだけでも珍しいのに、120Hzリフレッシュレートにまで対応しています。
12GBの潤沢なメモリや2024年基準でミドルレンジクラスなSoCのおかげもあり、動作はとてもスムーズです。
色温度については設定のMy Toneで変更できます。
明るさ自動調整オンでの全白HDR動画再生時に輝度をLX-1336Bで計測すると、最大442nitに達しました。
高輝度モードはないようで、屋外では少し見にくいです。
明るさの度合いを示す単位で、高いほど明るいという意味です。
屋内では400~500nit程度、屋外では800~1000nit程度でないと見にくいとされています。
ちなみに、明るさの自動調整をオンにしないと最大値が制限される機種が多いです。
タッチサンプリングレートをTouch Sample Rate Testerで計測すると、シングルタッチ・マルチタッチともにMovement Rateは120Hz程度でした。
WALT Latency Timerで計測したタッチ遅延は合計63.1msでした。
一般的なスマホと比べると遅延が大きめですが、MOONDROP MIAD01はミドルレンジクラスの性能しかないので元々音ゲーには向いていません。ゲーム以外では差を感じることはないでしょう。
画面をタッチしたときに反応してくれるまでの時間です。
この数値が小さいほど、素早く反応するということです。
ゲーミングスマホでは25msほど、通常のスマホでは30~40ms前半が一般的です。
Widevine L3なのでストリーミング再生ではSD画質でしか再生できません。他社Android DAPと同様です。
背面:質感はチープだが見た目は良い
MOONDROP MIAD01はコスト削減のためか全面的にプラスチック素材でできており、チープな印象を受けます。
サイバー感あるプリントがされており、一般的なスマホにないデザインで個性的なのは良いと思います。
カメラの出っ張りもなく、机に置いたときにガタガタしにくいです。
耐久性は低そうに感じます。
重さは204.8gです。
カメラはメーカー自身が「良くはないが動く」と評しているだけあって、本当に微妙です。
メモ撮影やQRコード読み取り程度なら問題ないでしょう。
オーディオ:100段階音量や4.4mmバランス搭載
MOONDROP MIAD01はステレオスピーカー搭載です。
一番の特徴は3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスを両方とも搭載していることで、外付けDACをブラブラさせることなく音楽再生を楽しめます。
全体的にはソフトな印象でボーカルが目立ち、低音はやや控えめに感じます。
3.5mmジャックだと音楽の切り替えやロック解除時などに小さくジジッとノイズが鳴る場合がありました。大音量ではないですし使用に支障が出るほどではありません。
Cirrus Logic CS43130を2基搭載しています。
音量は3.5mm・4.4mmジャック接続した状態だと100段階で調整できるようになっており、30以下で十分なほどに鳴らしてくれます。
ジャック接続時はSRC回避をしているそうですが、SRC回避は現状のバージョンではうまく動いていないようです。
Amazon Musicで24ビット / 96KHzの曲をストリーミング再生すると24ビット / 48KHzになってしまいました。
ダウンロードすると96KHzのままになります。(アプリの表記が合っていても最終出力は異なるパターンがあるので、完全にビットパーフェクトなのかは不明です)
WALT Latency Timerでイヤホンジャックのオーディオ出力遅延を計測すると21.2msでした。
USBポートだと38.2msでやはり少し大きめになるようです。
Bluetooth Codec Changerで対応コーデックを確認すると公式サイトの表記通りSBC・AAC・LDACのみの対応で、LDAC・LHDC両対応イヤホンを接続してもLDACでしか接続できませんでした。
他サイトのレビューではLHDCに対応していることを確認した、などと記載されていましたが誤りです。
開発者向けオプションにはLHDCコーデックに関する項目があるものの、これはMediaTekのOSテンプレートに項目が入っているというだけであって、コーデックが有効化されているという証拠にはなりません。
ポート:高速なデータ転送が可能
USB Type-CポートはUSB 3.2 Gen 1対応で、高速に音楽や動画ファイルを転送できます。
DisplayPort Alt Modeでの映像・音声出力は残念ながらできないようです。
nano SIM 2枚かnano SIM + microSDカードを挿せるようになっており、対応バンドは
- GSM: B2/3/5/8
- WCDMA: B1/2/4/5/8
- LTE: B1/2/3/4/5/7/8/12/17/20/28(A+B)/38/40/41/66
- 5G: N1/3/5/7/8/20/28/41/77/78
でY! mobileやSoftBank、LINEMOといったSoftBank系の回線向きです。楽天モバイルなどでも使えないことはないですがエリアは狭まります。
VoLTE通話が可能です。
SIMを挿せるDAPとして、ストリーミング再生を使うことが多い方にはかなり役に立つと思います。
USB PD 33W充電対応の5,000mAh容量のバッテリーを搭載しており、スタンバイ時は減りが少ない印象です。
電源オンのままでも割と長く使えるため、聴きたい時にすぐ使えるところも一般的なDAC・DAPと比べて使い勝手が良くメリットになると思います。
電源ボタンや音量ボタンは右側面にあります。
性能:DAPとしては高性能
MOONDROP MIAD01はMediaTek Dimensity 7050を搭載しており、普段使いには十分な性能を持っています。
他社DAPはオーディオ関係に力を入れていてもSnapdragon 665 (2019年発表) や3GBメモリ、2,000mAhバッテリー搭載など基礎スペックがおざなりになっており、ストリーミング再生アプリを動かすにはもう性能が足りなくなりつつあります。
MOONDROP MIAD01なら2024年基準でミドルレンジクラスのスペックが揃っていますし、長く快適に使えると思います。
Geekbench 6ではパッケージ名偽装版 (=メーカーの不正ブーストの影響を受けない) でシングルコア992・マルチコア2561、通常版でシングルコア1100・マルチコア2636でした。
大きな差がないため、パッケージ名判定での性能制御は行っていないようです。
AnTuTuをはじめとする有名ベンチマークアプリをパッケージ名で判別して、ベンチマーク中だけスコアをよく見せかけるため熱制御を緩めたり高クロックに固定したりとチート行為をするメーカーが続出しています。
通常のアプリ使用時とは異なる挙動であるため、「ベンチマークは良いのに他のアプリの動きは大して良くない」ということが起こります。
メーカー毎にブーストの挙動が違うので、ブーストされた結果で比較しても何の意味もありません。
そのためパッケージ名を変更して一般アプリに偽装し、ブーストされていない正しいスコアを出すことが重要です。
こちらの記事で詳しく解説しています。
背景ぼかしやテキスト処理などで使われる、CPUの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
普段使いの軽い作業にはシングルコア、重たいゲームなどにはマルチコアの性能が重要です。
2024年現在はシングルコアで1200、マルチコアで3000以上なら大抵快適に使えるでしょう。
ベンチマーク結果はこちらの記事にまとめています。
パッケージ名を偽装した3DMarkでのWild Life Extreme Stress Testではスコア639→635でした。
スコアから分かるとおり、重たいゲームを快適にプレイすることは不可能です。
音楽や動画再生をするには十分です。
Wild Life ExtremeはVulkan APIを利用し、3840×2160解像度のグラフィックでGPU性能を数値化するベンチマークです。
スコアが高いほどゲームなどで滑らかな3D表示が可能で、Stability (安定度) が高いと高い性能を長時間維持できるという意味になります。
発熱とバッテリー消費とのバランスも重要で、安定度が高くて温度上昇とバッテリー消費が少ないものが理想です。
2024年現在は2000以上あれば、大抵のゲームをグラフィック設定を極端に落とすことなく快適にプレイできる傾向にあります。
あくまでもVulkan API使用時の汎用的な簡易指標でしかなく、実際のゲームの挙動は最適化や放熱性能、解像度など様々な要因で変動するため、「このスコアならだいたいこんな動きをするだろう」という推測の材料にする程度に収めてください。
ドキュメント操作など普段使いでのパフォーマンスを計測するPCMark Work 3.0 (パッケージ名偽装版) ではスコア11172でした。
2024年基準で最低でも8000はないと快適な動作にならないところ、基準を上回るスコアを出せているのでしばらくは安泰でしょう。
ウェブの閲覧、画像・動画の編集などでの処理性能がどれほどあるかを数値化するベンチマークです。
高いほど高速な処理ができますがバッテリー消費とのバランスも重要なので、スコアが低めだからといって悪いとは限りません。
2024年現在は8000以上あれば十分です。
SK hynix製H9RT1GGA65X029のUFS 3.1ストレージ、LPDDR4Xメモリを搭載しています。
リード・ライト共にそこそこの速度が出ています。他社Android DAPに比べれば圧倒的に高速です。
シーケンシャルリード・ライトは大きなファイルのコピー時や動画エンコード・デコード時などに影響する読み書き速度です。
ランダムリード・ライトは細かなファイルの読み書き速度で、アプリ・ゲーム使用時はこちらの速度が重要です。
OS:日本語やPlayストアも利用可能
MOONDROP MIAD01は中国版とグローバル版の中間のような仕様になっており、初期セットアップで「其他」を押すと日本語に設定できます。
日本語訳が間違っている部分がちらほらあるものの、普段使いする上で問題になるほどの数ではありません。
設定→アプリ→Google Basic Servicesをオンにすると、自動でPlayストアがインストールされます。
一般的な中国版だと利用できないロケーション履歴も使えるようになっています。
GPSは掴みが悪いようで、Googleマップなどで現在地のボタンを押しても反応してくれません。
Playプロテクト認定はされていないため、銀行アプリなどはインストールできません。
ジェスチャーは地味に色々と対応しており、ダブルタップで画面オンオフも可能です。
通知音などは8bit風のものがいくつか入っており、可愛らしいです。(こちらにアップロードしています)
AOSPスタイルで余分なカスタマイズが少なく、操作に迷うことは少ないと思います。
Wi-Fi 6に対応しており、6GHzには非対応でリンク速度は600Mbps程度です。
少し遅めではあるものの、音楽のストリーミング再生には十分です。
磁気センサーやジャイロスコープなどのセンサーも搭載しています。
MOONDROP MIAD01はfastboot flashing unlockコマンドで簡単にBootloader Unlockできます。
root化することでPlayプロテクト認定も通せてしまえます。
ROMのダンプはこちらにアップロードしています。何故かinit_bootパーティションがありますがダミーなので、bootのほうをパッチしないといけません。
ダンプであって焼くための準備済みファイルではないので、復旧用に使う場合はNVなど焼いてはいけないファイルを除外してください。
まとめ
- Android DAPとしては高い性能
- 3.5mm & 4.4mmジャック搭載
- CS43130 DACを2基搭載
- 256GBストレージ、microSDカード対応
- 6.7インチの大画面
- 5,000mAhバッテリー
- 5Gデータ通信対応
- USB 3.2 Gen 1ポートで高速データ転送
- 質感は安っぽい
- 楽曲切り替え時にノイズが出る場合あり
- カメラ画質はメーカー説明通り微妙
- GPSの掴みが悪い
- Playプロテクト認定なし & Widevine L3
ボーカルが目立つためアニソンなどを聴きたい方にちょうど良いDAPだと思います。
駆動力がありしっかりと鳴らしてくれるため、これまでスマホに外付けDACをぶら下げて音楽を聞いていた方もMOONDROP MIAD01なら単体で楽しめるようになると思います。
カメラが微妙なことを除けば普段使いしやすいスペックですし、人によってはメインスマホとしても使えるレベルです。
MOONDROP MIAD01は$399で購入できます。技適取得中で、日本でも販売予定があるそうです。